2015年08月20日
サマリー
◆7月に内閣府から「中長期の経済財政に関する試算」が公表され、経済成長、財政再建の両面から改めて「民間投資の喚起」つまり設備投資の増加が重要であることが確認された。
◆ただし、大和総研の足許の「企業規模別・産業別の設備投資の先行き見通し」の中では、設備投資の先行きは大企業製造業の動向に左右されるとされており、非製造業は設備投資を抑制する可能性が高いとしている。
◆非製造業が設備投資を抑制する傾向があるとすれば、過去20年間、我が国の産業の非製造業化=サービス化の進展は設備投資の動向に何らかの影響を与えてきたと言えよう。さらに、サービス化の背景に我が国の社会・産業構造の変化があるとすれば、一時的な要因と言うよりも構造的な要因とも言えよう。
◆広義サービス業の生産性の向上は、既に長きにわたり議論が重ねられてきた。しかし、生産性との関係で言えば、一人当たりGDPでは、20年前の水準よりも低い産業が広義サービス業の大半を占める。
◆このため社会・産業構造の変化に伴い、生産性を向上させるために広義サービス業自体が構造的な変革を遂げてきたかと言えば疑問が残る。サービス業の生産性向上の議論は高まっているが、日本の産業自体が抱える構造的な課題を再認識する必要があろう。
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