米英独の製造業強化に向けた政策の動向

人口減少の中で求められる生産性向上 第7回(製造業・日米英独比較)

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2015年11月25日

サマリー

◆日米英独において、製造業は依然として経済の主要な部分を占める重要な産業である。新興国の安価な労働コストの活用機会の拡大、ICTの飛躍的な進展等から、主要な企業は、製造業のバリュー・チェーン(※1)をグローバルに拡大して分業化を進めてきた。


◆しかし、2008年の金融危機後、世界貿易が循環的要因に加えて、構造的要因が重なり低迷する中、米英独の主要な製造業強化の政策を見ると、各国の政府としても製造業の強化を図り、自国の経済成長につなげていくために、強い部分を強化することで製造業のバリュー・チェーン全体を強化させることが政策上の重要課題となっている。


◆3ヵ国の政策の共通点は、最先端技術における研究開発を促進して付加価値の高い分野で競争をリードする方針を採用していることである。その上で、米国は“研究開発”~“企画・設計”、英国は“企画・設計”、“販売~回収”、ドイツは“製造計画・調達”~“製造”という部分のバリューを革新的に向上させようとする意図が見える。


◆日本においても、製造業全体で見ると、金融危機後に輸出額を伸ばせていない。製造業の強化のためには、省庁横断でロードマップを統合し、共有可能な全体のグランドデザインを描き、政策の方針を明確にし、日本の製造業の特性に適合した具体的な施策を推進していくことが必要ではないだろうか。


(※1)バリュー・チェーンとは、企業などの組織における調達、製造、出荷、販売、管理、技術開発、サービス提供などといった活動が、連鎖して付加価値を生み出すものとして全体を網羅的に描いたもの。米国マイケル・ポーター教授が提唱。

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