サマリー
◆2024年6月を目途に、PHRサービス事業協会(民間の事業者団体)による業界ガイドラインが策定されるなど、公的な保健医療情報と民間事業者が取得するライフログなどの情報を組み合わせた民間のパーソナル・ヘルス・レコード(PHR)サービスの広がりが期待されている。だが、国民や医療機関が、公的PHRである既存のマイナポータル等を通じてデータを利活用する動きは低調である。
◆オーストラリアでは、10年以上前から個人や医療従事者の間で保健医療情報を共有することができる公的PHR(My Health Record)を運用してきた。そのオーストラリアでも、医療機関や薬局などでの利活用が増加する一方、国民による利活用は計画通りに増えていない。同国では、国民のMy Health Recordの利活用を促進するため、利便性の高いスマホアプリの開発・運用と並行して、国民のデジタルヘルスリテラシーの向上にも取り組んでいる。
◆日本でも、民間PHRサービスの利活用を増やすには、国民のデジタルヘルスリテラシーを向上させる仕組みが必要だろう。加えて、PHRの有意義な利活用を広げるため、医療機関の電子処方箋や電子カルテ情報共有サービスの導入を加速することも重要だろう。
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