2023年10月24日
サマリー
◆2023年10月の大和地域AI(地域愛)インデックスは、「東北」など4地域で改善した一方、「近畿」など5地域で悪化した。
◆分野別に見ると、家計関連のインデックスのうち、消費は「関東甲信越」「北陸」などで改善した。特に、百貨店の売上高や外食・旅行関連など対面型サービス、家電販売が増加していることが寄与している。一方、「東北」では百貨店不振の影響で消費は悪化したが、背景には行動制限緩和による首都圏への需要流出や旅行などの支出を優先する動きがあるようだ。住宅投資は資材価格高騰を受けて「近畿」「九州・沖縄」などでマイナスとなった。雇用・所得環境は、「北陸」では観光需要の持ち直しに伴うアルバイトの採用強化や物流業界の2024年問題対応によるドライバー確保の動き、また「四国」では人材確保のための賃上げ等を背景に改善した。企業関連では、設備投資は収益悪化などの影響を受けて「四国」などでマイナスとなった。生産は「中国」「東北」などで改善した一方、「四国」「九州・沖縄」「関東甲信越」などで悪化した。特に、「中国」では電子部品・デバイス、「東北」では輸送機械や食料品がプラスに寄与している。一方、「四国」では紙・パルプ、「九州・沖縄」では汎用・生産用・業務用機械や鉄鋼・非鉄金属、「関東甲信越」では電気機械が悪化した。また、輸出は「北海道」でホタテなどの水産物、「東海」で電子部品・デバイスといった輸出の減少を受けて悪化した。企業マインドは「東北」で改善したが、「四国」「近畿」「北陸」などでは悪化した。「東北」では対個人サービスや飲食・宿泊サービスなどがプラスに寄与する一方、「四国」では対個人サービスや食料品など、「近畿」では宿泊・飲食サービスや紙・パルプなどがマイナスとなった。
◆全国的に見ると、新型コロナウイルス感染症の影響緩和に伴って、消費や生産が改善傾向にある地域が見られる。特に、外出機会の増加によるサービス消費の回復や、工場稼働率の引き上げによる生産量の増加が顕著だ。一方、企業の業績不振や将来に対する不確実性の高まりによる企業マインドの悪化や住宅投資の減少、または海外の経済状況の悪化などによる輸出の減少もあって、経済全体のインデックスが低下している地域も見られる。全体として、日本経済は回復基調にあるものの、地域による違いが大きい状況だ。引き続き、海外経済の不安定性等のリスク要因に対する警戒が必要となるだろう。
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