期待高まる地方創生へ向けた取り組み(1):クラウドファンディングの活用
~交付金対象事業「クラウドファンディング活用三市連携事業」の事例を踏まえて~
2017年02月08日
サマリー
◆クラウドファンディングはインターネットを介して課題解決に必要な資金を全国から調達できると同時に、全国に地域を知らしめる力を持っていることから、地方創生に資すると言える。ただし、新たに地域サイトの運営を始めるにはシステム費用等が必要となり、負担は小さくないとみられる。
◆岐阜県の美濃加茂市・関市・各務原市による事業「クラウドファンディング活用三市連携事業」は、政府の地方創生関連の特徴的な取り組み事例として取り上げられている。自治体が特定地域のクラウドファンディングのプラットフォームを、民間サイトを通じて提供する点や、3市連携による低コスト化等が特徴ある先駆的取り組みとして評価されたようである。
◆美濃加茂市の地方版総合戦略におけるクラウドファンディングの位置づけは、産業育成というよりも、市民が自分らしく生きるための手段であり、市民生活支援であることがわかる。
◆課題に対して多面的な支援が可能なクラウドファンディングは、地域経済の活性化手段というよりも、地方創生を実現する手段に向いていると言える。FAAVO美濃國を3市がオーナーとして運営する価値は、一過性の経済産業振興ではなく、少額の運営費でその何倍もの地域内の資金支援が続く新たな「仕組み」を得ることができた点にあると言えよう。
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