サマリー
◆起業に関心を持つ女性の課題としてあげられるのは、家事等の時間の制約や、事業運営に関する知識やノウハウ面の不足である。こうした女性特有の問題を解消するための支援ネットワークや、制度融資での支援の仕組みが整いつつあり、加えて、起業初期の経営リスクそのものを減らせる施策があれば望ましい。
◆地方創生関連の交付金対象事業として、内閣府が取り上げた特徴的な取り組み事例のひとつである「創業するなら山口県推進事業」は、山口県と民間の金融機関や企業が共同して会社設立(女性創業応援やまぐち株式会社(WISやまぐち))を通じて、女性起業を支援するユニークな仕組みを備えている。同社からの事業の委託の形態をとることで経営リスクを抑えられるスキームとなっている。
◆他県と同様、山口県でも進学・就職年齢層の県外転出が見られる。30代前半から半ばまでの年齢層では女性は男性よりも転出者数が多いが、仮に起業することによってこの層の女性の転出が抑制されるのであれば、長らく続いてきた人口減少の緩和に寄与する可能性がある。「創業するなら山口県推進事業」のような女性起業支援の取り組みを通じ、女性県民が少しでも多く留まれるよう環境を整備することは、地方創生の推進につながる先駆的な施策であると言えよう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
同じカテゴリの最新レポート
-
公共施設マネジメントと公会計
〜機能する行政評価〜『大和総研調査季報』2025年秋季号(Vol.60)掲載
2025年10月24日
-
持続可能な社会インフラに向けて 水道広域化のスケールメリットの検証と課題
足下のコスト削減よりむしろ技術基盤の強化
2025年04月22日
-
水道管路の性能劣化の現状とその対策
都市部の経年化よりむしろ低密度・人口減地域の投資財源不足が課題
2025年03月14日

