サマリー
◆本稿では、世界で広がりを見せるポピュリズム現象に関して、「ポピュリズム指数」を用いてマクロ経済との相互作用を分析した。世界主要30カ国のマクロ経済データを用い、機械学習(ランダムフォレスト)とパネル回帰分析を組み合わせることで、経済面から見たポピュリズムの発生要因と、ポピュリズムによる経済への影響を検証した。
◆経済面から見たポピュリズムの発生要因に注目すると、回帰分析の結果、5年前の中技能労働者における実質賃金の1標準偏差の低下は、ポピュリズム指数を約0.038標準偏差押し上げる傾向が確認された。これに対し、中長期的な実質GDP成長率の変化の1標準偏差の低下が同指数を押し上げる効果は、約0.017標準偏差であった。
◆続いて、ポピュリズムによる経済への影響を見ると、ポピュリズム指数が1標準偏差上昇すると、中技能労働者の実質賃金は約0.237標準偏差低下することが示された。また、失業率の変化に関しても、同指数の1標準偏差の上昇は約0.052標準偏差の失業率上昇を伴い、統計的に有意な関係が確認された。
◆これらの結果は、経済の停滞とポピュリズムの高まりが相互に影響し合うことで、悪循環(負のスパイラル)が生じ得ることを示唆している。すなわち、経済状況の悪化がポピュリズムを助長し、それがさらに経済パフォーマンスを下押しするという循環的なメカニズムを通じて、ポピュリズムの持続性が強化される可能性がある。
◆本稿の含意は、ポピュリズムの是非を評価すること自体にあるのではなく、ポピュリズムと経済情勢の相互作用を確認したうえで、悪循環の起点となりやすい中間層(中技能労働者)の所得基盤の脆弱性と将来不安に着目し、マクロ・ミクロを統合した政策設計の必要性を提示する点にある。
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