2024年12月24日
サマリー
◆2024年12月19日、経済産業省の健康経営推進検討会において、令和7年度健康経営度調査に向けた検討が始まった(※1)。引き続き、①健康経営の可視化と質の向上、②新たなマーケットの創出、③健康経営の社会への浸透・定着、が政策の3本柱になる。具体的な取組では、経営層の関与、PHR(Personal Health Record)や健診データの活用、仕事と介護の両立支援、常時使用しない従業員への取組、女性特有の健康課題への対応、メンタルヘルス対策、プレコンセプションケアの啓発などの状況が継続して問われそうだ。
◆また、健康経営の目指すべき姿(「健康経営の波及効果と目指すべき姿(2.0)」)として、健康経営を人的資本経営の土台と明確に位置づけた。健康経営を通じて「人」のパフォーマンスを引き上げ、広く日本経済社会を支える基盤とすることが求められている。そのため健康経営の質を持続的に向上させることが重要だ。
◆この点、健康経営を、PDCA(計画・実行・評価・改善)サイクルを回して見直すことがこれまで以上に重視されるだろう。2024年11月12日、日本からの提案により、国際規格「ISO 25554:2024高齢社会-地域社会と組織のウェルビーイングを促進するためのガイドライン」が発行された。ISO 25554には、目標指標を設定し、その達成状況を測定して評価・改善する、健康経営の認定スキームが反映されている。
◆ISO 25554の利活用を通じた日本のヘルスケア産業の振興が期待されていることもあり、健康経営を推進する企業には、本規格の活用事例に資するPDCAの実施が求められそうだ。2025年に改訂される健康経営ガイドブック・ハンドブックを基に効果的・効率的にPDCAを回し、健康経営の質を向上させることが、人的資本経営の土台としても、健康経営の国際展開においても重要になる。
(※1)「健康経営®」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。
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