サマリー
◆2022年度診療報酬改定では、オンライン資格確認を通じて取得した患者情報を活用して診療を実施することを評価する、「電子的保健医療情報活用加算」が新設された。コスト負担を理由に、医療機関で遅れているオンライン資格確認等システムの導入を後押しするためだ。政府は2023年3月末までに、概ね全ての医療機関・薬局で導入することを目指している。
◆政府がオンライン資格確認を推進する背景には、医療機関の事務負担の軽減や、災害時などでも質の高い医療を提供するという目的に加え、健康・医療・介護に関する膨大なデータの分析環境を整備して、将来の医療分野の発展や予防医療の促進につなげたいとの期待が大きい。民間による創薬等のイノベーションも望まれている。
◆他方、コロナ禍の中で様々な医療分野の課題が顕在化した日本では、医療提供体制を見直すことが急務である。オンライン資格確認によって構築されるデータベースの分析は、医療の効率化にもつながる。オンライン資格確認等システムの整備・運用コストが、消費税や健康保険料等によって支援されている点を踏まえると、連結されるデータを医療提供体制の見直しにも活かすことが必要である。感染症にも対応した、効率的で持続可能な医療提供体制の実現が強く望まれる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
学生の「103万円の壁」撤廃による就業調整解消は実現可能で経済効果も大きい
学生61万人の就業調整解消で個人消費は最大0.3兆円増の可能性
2024年11月11日
-
課税最低限「103万円の壁」引上げによる家計と財政への影響試算
基礎控除を75万円引上げると約7.3兆円の減税
2024年11月05日
-
課税最低限「103万円の壁」引上げによる家計と財政への影響試算(第2版)
「基礎控除引上げ+給与所得控除上限引下げ案」を検証
2024年11月08日
-
石破政権の看板政策「2020年代に最低賃金1500円」は達成可能?
極めて達成困難な目標で、地方経済や中小企業に過重な負担の恐れ
2024年10月17日
-
トランプ2.0で激変する米国ESG投資政策
年金制度におけるESG投資の禁止、ESG関連開示制度の撤廃など
2024年11月07日
学生の「103万円の壁」撤廃による就業調整解消は実現可能で経済効果も大きい
学生61万人の就業調整解消で個人消費は最大0.3兆円増の可能性
2024年11月11日
課税最低限「103万円の壁」引上げによる家計と財政への影響試算
基礎控除を75万円引上げると約7.3兆円の減税
2024年11月05日
課税最低限「103万円の壁」引上げによる家計と財政への影響試算(第2版)
「基礎控除引上げ+給与所得控除上限引下げ案」を検証
2024年11月08日
石破政権の看板政策「2020年代に最低賃金1500円」は達成可能?
極めて達成困難な目標で、地方経済や中小企業に過重な負担の恐れ
2024年10月17日
トランプ2.0で激変する米国ESG投資政策
年金制度におけるESG投資の禁止、ESG関連開示制度の撤廃など
2024年11月07日