「オンライン資格確認」を医療改革の布石に

医療の効率化こそが国民・患者にとってのメリット

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2022年04月25日

サマリー

◆2022年度診療報酬改定では、オンライン資格確認を通じて取得した患者情報を活用して診療を実施することを評価する、「電子的保健医療情報活用加算」が新設された。コスト負担を理由に、医療機関で遅れているオンライン資格確認等システムの導入を後押しするためだ。政府は2023年3月末までに、概ね全ての医療機関・薬局で導入することを目指している。

◆政府がオンライン資格確認を推進する背景には、医療機関の事務負担の軽減や、災害時などでも質の高い医療を提供するという目的に加え、健康・医療・介護に関する膨大なデータの分析環境を整備して、将来の医療分野の発展や予防医療の促進につなげたいとの期待が大きい。民間による創薬等のイノベーションも望まれている。

◆他方、コロナ禍の中で様々な医療分野の課題が顕在化した日本では、医療提供体制を見直すことが急務である。オンライン資格確認によって構築されるデータベースの分析は、医療の効率化にもつながる。オンライン資格確認等システムの整備・運用コストが、消費税や健康保険料等によって支援されている点を踏まえると、連結されるデータを医療提供体制の見直しにも活かすことが必要である。感染症にも対応した、効率的で持続可能な医療提供体制の実現が強く望まれる。

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