株主優待設計の際に考慮すべき法的論点

配当とみなされないようにした上で、株主平等原則に配慮した設計を

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サマリー

◆会社法には、株主優待そのものに関しての直接的な規定はない。もっとも、優待制度の設計に際しては、その優待が配当に当たらないか否かを確認した上で、会社法109条における「株主平等原則」を満たす制度とする必要などがある。

◆優待が配当とみなされないようにするためには、分配可能額がなく配当を行えないような状況下で優待を実施したり、広告宣伝効果が薄いにもかかわらず、多額の資金流出を伴うような優待を実施したりすることは避ける必要がある。

◆また、会社法109条における株主平等原則については、日本証券業協会が事務局を務める「株主優待の意義に関する研究会」が公表した報告書でも整理された。この報告書では「株主優待についてはその目的の正当性(≒必要性)が認められ、相当性の範囲内で提供されるものであれば、株主平等原則に抵触しないと考えられている」とされている。

◆上記のいずれの議論においても、具体的にどのような優待に問題があり、どのような優待であれば問題がないのか、という線引きを明確に行うことは難しい。実務的には、広告宣伝効果が見込めるような優待品を選定し、他社の配布する優待品価値の水準や優待利回りなども考慮するなど、妥当な優待制度設計とすることが求められるだろう。

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