2025年04月28日
サマリー
◆東京証券取引所(以下、「東証」)は、2024年10月から「少額投資の在り方に関する勉強会」を開催し、2025年4月24日に報告書を公表した。報告書では、個人投資家が求める投資単位の水準である「10万円程度」を踏まえて、上場会社が「投資単位の水準や引下げに向けた方策を自発的に検討していくことが重要」(報告書p.2)とされた。
◆加えて、「中長期的な観点から更なる少額投資を実現する方策案」(報告書p.30)として、売買単位の引下げなどの対応を行った際の論点の洗出しも行われた。
◆大和総研の集計では、2025年4月現在、プライム市場上場会社のうちの約半数が投資単位20万円以上となっているなど、投資単位の水準が「10万円程度」から離れている会社も多い。「10万円程度」という金額は、あくまでも「考慮」が求められるものにすぎず、この水準を超過していても株式分割が強制されることはないものの、投資単位の高い会社は今まで通り積極的に株式分割を検討した方がよいだろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
株式分割は企業に何をもたらすか
株式分割が株価や株主数、流動性に与える影響を定量的に分析
2023年07月26日
-
少額投資制度に漂う危惧感
単元株数が1株になると株主総会の政治化や株主提案権濫用の恐れ
2024年08月23日
-
日本企業における個人株主の動向
増加する「個人株主」の影響を考える
2024年08月08日
-
個人株主の議決権行使比率は高められるか
「飛び道具」は無いため、株主負担の地道な引き下げが重要
2025年03月26日
同じカテゴリの最新レポート
-
CGコードでの現預金保有の検証に対する上場会社の懸念
一見対立しているようだが、通底する投資家と会社側の意見
2025年11月07日
-
非上場株式の発行・流通を活性化する方策
「スタートアップ企業等への成長資金供給等に関する懇談会」が報告書を公表
2025年10月29日
-
親子上場などに関する開示議論の再開
不十分な開示状況に対して、開示項目の記載必須化に向けた議論も
2025年10月27日


