2023年05月02日
サマリー
◆2023年4月28日に、連邦準備制度理事会(FRB)、連邦預金保険公社(FDIC)、ニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)、米国政府説明責任局(GAO)は、シリコンバレーバンク、シグネチャーバンクの破綻原因や当局の対応を検証する報告書をそれぞれ公表した。
◆シリコンバレーバンクに関するFRBの報告書では、今般の破綻の原因として同行のリスク管理の失敗を挙げているが、それに加えて、監督当局の監督・規制の問題点及び今後の見直しについて多く記載されている。
◆今般の報告書で特に注目されたのは、トランプ前政権時の2018年に議会で成立した「経済成長、規制緩和、消費者保護法」(Economic Growth, Regulatory Relief, and Consumer Protection Act:以下、EGRRCPA)及びそのもとで制定されたFRB規則の問題点に対する指摘である。報告書では、EGRRCPAやFRB規則が組み合わさって弱い規制の枠組みになったとしており、連結総資産1,000億ドル以上の銀行を対象とした規制を見直すとしている。
◆FRBは、今回の報告書を出発点として、連結総資産1,000億ドル以上2,500億ドル未満の銀行持株会社に対する規則の改正に向けて取り組むことになる。スケジュールについては、早ければ今夏に規制案が公表されパブリックコメントの募集が行われ、2024年夏頃には新規制が公表されることが想定される。
◆ただし、報告書公表後の5月1日(米国時間)にシリコンバレーバンクより資産規模が大きいファーストリパブリックバンク(FRC)が破綻したことで、規則最終化の時期が早まる可能性があることに留意する必要があるだろう。その意味では、報告書公表後に初めて開催される5月2日、3日のFOMC(連邦公開市場委員会)において、パウエルFRB議長が本報告書や今後の規制の見直しに関して、如何なるメッセージを発するかは注目に値するだろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
外為法の投資審査制度の見直しの動向
情報通信技術関連業種の一部を審査対象から除外する見込み
2026年07月16日
-
インターネット取引での適合性確保
金融審議会報告にて「今後検討を深めていくべき課題」と明記
2026年07月15日
-
日本での実質株主確認制度導入に向けた議論
会社法中間試案では2つの制度の導入を検討
2026年06月26日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
中国経済見通し:泥沼化する不動産不況
低迷する内需。財政出動・さらなる金融緩和への期待が高まる
2026年06月22日
-
ナフサ問題がもたらす日本経済の不安要素
物価上昇は避けられず、供給不足が生じればさらなる経済下押しも
2026年06月15日
-
第229回日本経済予測(改訂版)
混迷する中東情勢、その先で問われる日本経済の構造転換①「持続的成長」の条件、②資産形成と成長の好循環、を検証
2026年06月08日
-
「成長投資ガイダンス」の解釈とその活用法
資本コストを上回る資本収益性の確保は価値創造(EP)の前提条件
2026年06月17日
-
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
中国経済見通し:泥沼化する不動産不況
低迷する内需。財政出動・さらなる金融緩和への期待が高まる
2026年06月22日
ナフサ問題がもたらす日本経済の不安要素
物価上昇は避けられず、供給不足が生じればさらなる経済下押しも
2026年06月15日
第229回日本経済予測(改訂版)
混迷する中東情勢、その先で問われる日本経済の構造転換①「持続的成長」の条件、②資産形成と成長の好循環、を検証
2026年06月08日
「成長投資ガイダンス」の解釈とその活用法
資本コストを上回る資本収益性の確保は価値創造(EP)の前提条件
2026年06月17日
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日

