2015年03月18日
サマリー
◆2014年10月31日、バーゼル銀行監督委員会(BCBS)は、「バーゼルⅢ安定調達比率」(最終規則文書)を公表している。
◆安定調達比率(NSFR:Net Stable Funding Ratio)とは、「利用可能な安定調達額(資本+預金・市場性調達の一部)」を「所要安定調達額(資産)」で除した割合を指す。BCBSは、2010年12月に公表したバーゼルⅢにて、新たにNSFRをバーゼル規制に加えている。
◆最終規則文書は、2010年12月公表のバーゼルⅢテキストにおけるNSFR部分の改訂であり、一部の要件の緩和や明確化が施されている。
◆NSFR導入の目的は、銀行の流動性リスク態様の長期的強靭性を高めることにある。その手段として、銀行に対し、常により安定的な資金調達源を確保したうえで業務を行うことを促すための追加的なインセンティブを設けている。
◆すなわち、NSFRは、流動性が低く、売却が困難な資産を保有するのであれば、これに対応し、中長期的に安定的に調達することを求めるものである。
◆最終規則文書では、銀行の維持すべきNSFRを100%以上としている。これを言い換えると、流動性の源となる安定的な資本・負債(分子:利用可能な安定調達額)を、流動性を生むことが期待できない(売却が困難な)資産(分母:所要安定調達額)以上に保有することを求めている。
◆NSFRは2018年1月から実施される。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
自己資本比率規制における内部格付手法の影響
内部格付手法採用行は自己資本比率の分母を7割程度に圧縮
2025年03月10日
-
バーゼルⅢ最終化による自己資本比率への影響の試算
標準的手法採用行では、自己資本比率が1%pt程度低下する可能性
2024年02月02日
-
SFDRのQ&A、9条ファンドの要件緩和へ
「格下げ」のトレンドは終焉し、パッシブ・ファンドが増加するか
2023年05月25日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
-
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
-
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日