2012年11月05日
サマリー
◆2012年10月24日、金融庁は、バーゼル規制に関して、国際統一基準行を対象として、「第1の柱」(最低所要自己資本比率)に係る告示の一部を改正する案(告示改正案)を公表している。
◆告示改正案は、バーゼル銀行監督委員会(BCBS)が、2012年7月25日、バーゼルⅢのなかで唯一最終化されていなかった、銀行の清算機関(CCP)向けエクスポージャーに対する資本賦課に関する暫定規則を公表したことを踏まえたものである。
◆金融庁は、パブリックコメントの終了後、2012年12月末までに正式に(改正後の)告示を公布し、2013年3月31日から適用する予定としている。そのため、告示改正案へのパブリックコメントの提出期間は、公表日から2012年11月7日までと、本来の「三十日以上」よりも短縮されたものとなっている。
◆CCP向けエクスポージャーについては、現行規制上、一般的にエクスポージャー額を「ゼロ」とする取扱いが認められている。現行の取扱いの見直しの背景には、適格なCCPを通じたOTCデリバティブ取引の決済を促進する必要性がある。
◆これを実現すべく、告示改正案は、CCPに取引を集中させることにより生じ得る潜在的なシステミック・リスクにかんがみ、エクスポージャー額「ゼロ」を認めるための要件を厳格化しつつも、一定の要件を充足するCCP向けエクスポージャーに対する資本賦課を本則よりも緩和している。
◆適用が開始される2013年3月末に向けて、対象となる国際統一基準行としては、CCPの適格性の有無、CCP向けエクスポージャー(トレード・エクスポージャーおよび清算基金)の洗い出しが急務となろう。
◆特に、清算基金の信用リスク・アセット額の算出にあたってリスク感応的な手法を採用する場合は、取引があるCCPと協議のうえ、入念な準備を進める必要が生じよう。
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