遺言のデジタル化に向けた検討

「民法(遺言関係)等の改正に関する要綱案」における、遺言の手続きの見直しについて

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サマリー

◆2026年1月20日、法制審議会民法(遺言関係)部会第17回において、「民法(遺言関係)等の改正に関する要綱案」(要綱案)が取りまとめられた。デジタル技術を活用した新たな方式の遺言のほか、既存の方式の遺言についても、押印要件を廃止するなど、遺言の作成に関わる規律を中心とした改正が提案されている。

◆新たな遺言の方式として提案された「保管証書遺言」は、遺言書を法務局で保管することが義務付けられる代わりに、デジタル機器を用いて遺言の全文を作成することを認める制度である。また、遺言書の保管の申請に関しても、一定の場合にはウェブ会議を用いて、自宅に居ながら手続きができるとされる。

◆限られた状況で作成が認められる「特別の方式」の遺言のうち、死亡危急時遺言、船舶遭難者遺言についても、デジタル技術を活用した新たな方式が提案された。録音・録画が、従来の方式における証人の記憶や叙述による証拠と同等の価値があるものとされ、口頭で遺言をする状況を録音・録画し、スマートフォンなどで特定の者に送信する方法による遺言の作成が認められることとなる。

◆遺言書を電磁的記録によって作成できる諸外国の制度としては、米国やカナダの一部の州で法制化されている「電子遺言制度」が挙げられる。日本の保管証書遺言とは、電磁的記録によって遺言を作成・保存するという点で共通するものの、それぞれ基となった遺言の方式が異なるため、両者は概念の基礎が異なると考えられる。

◆また、録音・録画を用いた遺言の作成は、韓国と中国では法制化されている。偽造の恐れがあることから、要綱案では、死亡危急時など限定的な場面での利用を認めるにとどめている。

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