金融機関における有価証券の減損基準(2)-基準内容

金融機関における有価証券の減損基準の内容、傾向の整理

RSS

2009年06月11日

  • ニューヨークリサーチセンター 主任研究員(NY駐在) 鈴木 利光

サマリー

◆2008年度は、世界的な金融危機に被われた年となった。

◆その結果、我が国の企業における2009年3月期の決算は、保有している有価証券の減損処理が一つのトピックとなったものと考えられる。そのことは、国税庁が2009年4月3日に、会計上において計上した減損損失を税務上も損金算入しやすくするために、「上場有価証券の評価損に関するQ&A」を公表したことからも窺われる。

◆本稿では、調査対象の金融機関71社のうち、「下落率30%以上50%未満」の場合に、無条件で「著しい下落」に該当する(「回復可能性」の判定に移行)としている(していた)金融機関、及び諸事情を総合考慮して「著しい下落」に該当するか否かを判定する(該当した場合は「回復可能性」の判定に移行)としている(していた)金融機関にスポットをあて、その減損基準の内容を整理した。結論として、後者の金融機関は21社あり、「著しい下落」に該当するか否かを判定するための「諸事情」としては、12社が「信用リスク」を、3社が「信用リスク等」を、3社が「株価推移」を、1社が「金額の重要性」を、1社が「債務者区分等」を、1社が「発行会社の財政状態等」を、そして1 社が「発行会社の業況等」を挙げている。

このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。