サマリー
◆米国とイランの停戦合意によりホルムズ海峡をめぐる緊張が緩和され、期近物のWTI原油先物価格は70ドル/バレル台まで低下した。エネルギー価格の下落によって、夏場にかけてCPIの減速を促すと見込まれる。
◆屋台骨である個人消費は底堅く推移してきたが、税還付は一巡し、貯蓄率も低水準にあることから、消費押し上げの余地は縮小している。一方、インフレ鈍化に伴う実質賃金の回復が新たな支えとなる可能性がある。こうした実質賃金の回復と、夏場にかけて雇用者数の伸びが緩やかに減速する可能性を併せて見れば、個人消費の回復は緩やかに進み、景気が強すぎず弱すぎないという「適温経済」に向かうことが想定される。
◆こうした「適温経済」は金融政策の観点からも望ましい着地点となろう。6月のFOMCでは、FOMC参加者のFF金利見通しで、2026年内の利上げ転換が示された。消費が過度に加速すればインフレ再燃のリスクが高まり、逆に急減速すれば景気後退懸念が台頭するが、足元はそのいずれにも傾かないソフトランディングの道に向かう可能性が高まってきたと整理できる。
◆他方で、6月のFOMCで初登板となったウォーシュFRB議長が、FRB改革を積極的に打ち出したことは、今後の金融政策運営をめぐる不確実性を高める要因となろう。ウォーシュ議長が志向するフォワード・ガイダンスの停止は、市場がFRBから受け取るシグナルが減少することで、金融政策の予見可能性が低下し得る。また、5つのタスクフォースを通じたFRB改革は、トランプ政権の政策運営をめぐる不確実性が高く、景気・物価の振れも大きい局面においては、市場が消化不良の状態に陥るリスクがある。拙速なFRB改革を回避できるかが注目点となろう。
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