米国経済見通し 景気悪化は近いのか

景気は緩やかに減速しており、急激な腰折れは考えにくい

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2024年07月19日

  • 経済調査部 主任研究員 矢作 大祐
  • ニューヨークリサーチセンター 研究員(NY駐在) 藤原 翼

サマリー

◆足元のインフレ指標はPPIが市場予想を小幅に上回ったものの、CPIは市場予想を下回った。総じてみれば、インフレ減速が継続していると評価できる。一方で、失業率の上昇やISM非製造業景況感指数の50%割れによって、景気の悪化懸念が強まっている。

◆失業率に関しては、サーム・ルールに基づいた場合、景気悪化リスクが強まる水準まで上昇している。ただし、失業率の上昇は、非自発的失業以外の失業率や米国外生まれの失業率の上昇が主因であり、単純に景気悪化が近いと捉えるべきではないだろう。

◆また、ISM非製造業景況感指数が再び50%割れとなったことは、景気悪化のシグナルと捉えられる。ただし、ISM非製造業景況感指数とこれまでに連動してきた実質サービス消費は堅調なままである。両者の乖離に関しては、マインドといったソフトデータが振れやすくなっている可能性があり、実際の景気は底堅く推移しているとみられる。

◆以上を踏まえれば、実際の景気は緩やかな減速にとどまるというのがベースシナリオといえる。インフレが減速する中で、FRBも利下げが正当化されつつあるとの認識を持ち始めているが、景気の急激な腰折れをベースシナリオとしては考えておらず、利下げは9月のFOMC以降ということが想定される。

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