サマリー
◆足元のインフレ指標はPPIが市場予想を小幅に上回ったものの、CPIは市場予想を下回った。総じてみれば、インフレ減速が継続していると評価できる。一方で、失業率の上昇やISM非製造業景況感指数の50%割れによって、景気の悪化懸念が強まっている。
◆失業率に関しては、サーム・ルールに基づいた場合、景気悪化リスクが強まる水準まで上昇している。ただし、失業率の上昇は、非自発的失業以外の失業率や米国外生まれの失業率の上昇が主因であり、単純に景気悪化が近いと捉えるべきではないだろう。
◆また、ISM非製造業景況感指数が再び50%割れとなったことは、景気悪化のシグナルと捉えられる。ただし、ISM非製造業景況感指数とこれまでに連動してきた実質サービス消費は堅調なままである。両者の乖離に関しては、マインドといったソフトデータが振れやすくなっている可能性があり、実際の景気は底堅く推移しているとみられる。
◆以上を踏まえれば、実際の景気は緩やかな減速にとどまるというのがベースシナリオといえる。インフレが減速する中で、FRBも利下げが正当化されつつあるとの認識を持ち始めているが、景気の急激な腰折れをベースシナリオとしては考えておらず、利下げは9月のFOMC以降ということが想定される。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
米銀最大手、9.7兆ドルの国債保有増加余地
レバレッジ比率緩和、米国国債市場の機能改善をもたらすか
2025年12月16日
-
FOMC 3会合連続で0.25%の利下げを決定
2026年は合計0.25%ptの利下げ予想も、不確定要素は多い
2025年12月11日
-
米国経済見通し 関税政策はマイルド化へ
トランプ大統領に対する世論と共和党内の不満の高まりが抑止力に
2025年11月25日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2025年10月
高市・自維連立政権の下で経済成長は加速するか
2025年10月22日
-
非財務情報と企業価値の連関をいかに示すか
定量分析の事例調査で明らかになった課題と今後の期待
2025年11月20日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
第227回日本経済予測
高市新政権が掲げる「強い経済」、実現の鍵は?①実質賃金引き上げ、②給付付き税額控除の在り方、を検証
2025年11月21日
-
グラス・ルイスの議決権行使助言が大変化
標準的な助言基準を廃し、顧客ごとのカスタマイズを徹底
2025年10月31日
日本経済見通し:2025年10月
高市・自維連立政権の下で経済成長は加速するか
2025年10月22日
非財務情報と企業価値の連関をいかに示すか
定量分析の事例調査で明らかになった課題と今後の期待
2025年11月20日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第227回日本経済予測
高市新政権が掲げる「強い経済」、実現の鍵は?①実質賃金引き上げ、②給付付き税額控除の在り方、を検証
2025年11月21日
グラス・ルイスの議決権行使助言が大変化
標準的な助言基準を廃し、顧客ごとのカスタマイズを徹底
2025年10月31日

