サマリー
◆2024年1月30日・31日に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)では、政策金利であるFF(フェデラルファンド)レートの誘導目標レンジが、従来の5.25-5.50%で据え置かれた。2023年9月のFOMC以降、4会合連続で金利据え置きとなった。今回の決定は市場参加者にとってサプライズとはならなかった。
◆声明文では、景気のリスク認識が修正された。従来の主要なリスク要因である、拙速に利下げへと転換することでインフレが高止まりするリスクと、利下げへの転換が遅れることによる景気や雇用環境を過度に悪化させてしまうリスクが、バランスしているとの見解を示した。こうしたリスク認識の修正を基に、利上げを想定したフォワードガイダンスから、より中立的なフォワードガイダンスへと変更した。FOMCの中で、利下げフェーズへと転換するための準備が進んでいるといえよう。
◆利下げに関して、パウエルFRB議長は次回(3月19日・20日)のFOMCでの利下げの実施を明言せず、利下げの判断は慎重に行うと述べた。景気の急激な上振れや下振れがなく、インフレ率の減速が足元のペースのままであれば、4-6月期に利下げへと転換することが可能となろう。
◆なお、銀行の手元流動性の低下に対して警戒感が強まっている中で、バランスシートの縮小(QT)のペースの減速も議論が行われ始めた。次回のFOMCでより詳細な議論が行われる予定である。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
-
2025年度税制改正大綱解説
大綱の公表で完結せず、法案の衆議院通過まで議論が続くか
2025年01月06日
-
2025年の中国経済見通し
注目点は①不動産不況の行方、②トランプ2.0 vs 内需拡大
2024年12月20日
-
石破政権の看板政策「2020年代に最低賃金1500円」は達成可能?
極めて達成困難な目標で、地方経済や中小企業に過重な負担の恐れ
2024年10月17日
-
岐路に立つ日本の人的資本形成
残業制限、転職市場の活発化、デジタル化が迫る教育・訓練の変革
2025年01月09日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
2025年度税制改正大綱解説
大綱の公表で完結せず、法案の衆議院通過まで議論が続くか
2025年01月06日
2025年の中国経済見通し
注目点は①不動産不況の行方、②トランプ2.0 vs 内需拡大
2024年12月20日
石破政権の看板政策「2020年代に最低賃金1500円」は達成可能?
極めて達成困難な目標で、地方経済や中小企業に過重な負担の恐れ
2024年10月17日
岐路に立つ日本の人的資本形成
残業制限、転職市場の活発化、デジタル化が迫る教育・訓練の変革
2025年01月09日