サマリー
◆2023年7月25日・7月26日に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)では、政策金利であるFF(フェデラルファンド)レートの誘導目標レンジが、従来の5.00-5.25%から5.25-5.50%へと0.25%pt引き上げられた。5月のFOMC以来2会合ぶりとなる追加利上げを決定したことになり、2001年2月以来、約22年ぶりの高水準となった。FOMC参加者が事前に今回のFOMCでの0.25%ptの利上げを支持すると示唆していたことから、市場参加者にとって想定通りの結果であった。
◆今回の追加利上げの決定は既定路線だったこともあり、注目点は更なる利上げの可能性であった。市場参加者の多くは今回の利上げをもって打ち止めという想定である一方、パウエル議長は記者会見で、インフレ抑制のためにまだやるべきことは残っていると述べたことから、追加利上げの可能性を示唆したといえる。他方で、次回9月19日・9月20日のFOMCでの連続利上げに関してはデータ次第と述べるにとどめた。
◆今後の利上げに関して、パウエル議長がデータ次第と指摘したが、9月の次回FOMCまでには雇用統計、求人件数を含むJOLTS、CPIといった重要指標が2回分ずつ公表される予定である。CPIに関しては、2023年下半期はベース効果が小さくなることで、前年比の伸びが下がりにくくなると考えられる。市場が想定するような利上げ停止を実現する上で、FRBが前年比ベースでのインフレ減速の足踏みを気にしなくてもよいように、労働需給が緩和し、インフレ圧力が落ち着いていくことが必要となる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
FOMC 様子見姿勢を強調
景気・インフレに加え、金融環境の変化が利下げのタイミングを左右
2025年05月08日
-
非農業部門雇用者数は前月差+17.7万人
2025年4月米雇用統計:景気への不安が高まる中で底堅い結果
2025年05月07日
-
米GDP 前期比年率▲0.3%とマイナスに転換
2025年1-3月期米GDP:追加関税を背景とした駆け込み輸入が下押し
2025年05月01日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
-
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
-
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
-
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日