サマリー
◆2022年12月の雇用統計では、非農業部門雇用者数の伸びが前月差+22.3万人と市場予想を上回るとともに、失業率も3.5%と前月から低下し、安心感のある結果となった。新規失業保険申請件数からも、足下まで雇用環境に大幅な悪化の傾向は見られない。また、求人件数は依然高水準にあり、雇用環境の堅調さを維持する原動力となっている。
◆もっとも、雇用統計と同日に公表された、12月のISM非製造業景況感指数は前月差▲6.9%ptの49.6%と、好不況の分岐点とされる50%を下回った。ISM非製造業景況感指数は景気後退期に50%を下回る傾向があり、雇用者数もISM非製造業景況感指数と概ね連動する傾向がある。ISM非製造業景況感指数の低下は一時的な振れの可能性もあるが、企業マインドが悲観的になり、雇用環境が今後急激に悪化し得ることは否定できない。
◆金融政策運営に関して、1月31日・2月1日に開催予定のFOMCでは、0.50%ptの利上げ幅を維持するか、0.25%ptへと更に利上げ幅を縮小するかが焦点となる。パウエルFRB議長は今後のインフレを見極める上での重要ポイントとして、労働需給動向や賃金上昇率を取り上げている。今回の雇用統計で賃金上昇率が減速したことを踏まえれば、次回FOMCでの利上げ幅の更なる縮小に向けて一歩前進したといえる。1月12日に公表予定のCPIが大幅に加速しなければ、0.25%ptの利上げがベースシナリオとして想定されることになろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
FOMC 様子見姿勢を強調
景気・インフレに加え、金融環境の変化が利下げのタイミングを左右
2025年05月08日
-
非農業部門雇用者数は前月差+17.7万人
2025年4月米雇用統計:景気への不安が高まる中で底堅い結果
2025年05月07日
-
米GDP 前期比年率▲0.3%とマイナスに転換
2025年1-3月期米GDP:追加関税を背景とした駆け込み輸入が下押し
2025年05月01日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
-
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
-
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
-
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日