サマリー
◆2022年4-6月期の実質GDP成長率は前期比年率▲0.9%と、2四半期連続のマイナス成長となった。2四半期連続のマイナス成長となったことで、市場は景気後退(テクニカル・リセッション)と認識する。しかし、重要なのはその内容である。最大の押し下げ要因となったのは、民間在庫である。また、金融引き締めを受け、住宅投資は減少し、設備投資も小幅ながらマイナスに転じた。他方、屋台骨である個人消費は底堅い結果となったことから、本格的な景気後退期へ突入したと認識するのは早計だろう。
◆7-9月期に関しては、財消費に関しては伸び悩むことが想定されるが、サービス消費が堅調さを維持することで、個人消費を下支えする状況が続くと考えられる。もっとも、金融引き締めが続くと見込まれる中で住宅投資や設備投資による押し上げは期待しにくい。現時点においては、個人消費が堅調さを維持することで、7-9月期に再びプラス成長に転じることが想定されるが、金融引き締め等もあって景気全体が減速している中でそのプラス幅は大きくないと考えられる。結果的に、実質GDP成長率のヘッドラインは民間在庫や純輸出によって左右されやすく、マイナス成長が継続する可能性も残されている。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
米GDP 前期比年率▲0.3%とマイナスに転換
2025年1-3月期米GDP:追加関税を背景とした駆け込み輸入が下押し
2025年05月01日
-
米国の州年金基金とビットコイン現物ETF
「戦略的ビットコイン準備資産」の実現により保有ニーズが高まるか
2025年04月25日
-
「トランプ2.0」における米国金融規制の展望
~銀行システム、暗号資産ビジネスと結合か~『大和総研調査季報』2025年春季号(Vol.58)掲載
2025年04月24日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
-
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
-
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日