サマリー
◆2022年2月の雇用統計では、非農業部門雇用者数が前月差+67.8万人となり、市場予想(Bloomberg調査:同+42.3万人)を大きく上回るポジティブなものとなった。また、1月に上昇した失業率に関しても、2月は3.8%と低下し、市場予想(Bloomberg調査:3.9%)を下回った(改善)ことから、安心感を与える結果であったといえる。一方、非自発的パートタイム就業者の増加や賃金上昇率の減速に関しては、一時的な変動か否か3月以降の結果を確認する必要があるだろう。
◆雇用環境の先行きに関しては、新型コロナウイルスの感染状況が落ち着く中で引き続き回復していくことが見込まれる。他方、雇用環境の改善を阻害し得る要因としては、ロシアのウクライナへの侵攻による悪影響が考えられる。既にエネルギー価格の上昇といった悪影響が見られるように、サプライチェーンの混乱に拍車がかかり、コスト高が企業の採用意欲の重石となることが懸念される。
◆金融政策への示唆として、今回の雇用統計の結果は3月15・16日のFOMCでの利上げを後押しすると考えられる。3月2・3日の議会証言で、パウエルFRB議長は、現在最大雇用に一致する雇用状況にあるとの認識を示し、3月のFOMCでの0.25%ptの利上げを示唆した。今回の雇用統計が強い結果となったことで、3月のFOMCでの利上げは既定路線となったといえるだろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
米GDP 前期比年率+2.8%と加速
2024年4-6月期米GDP:内需主導での堅調さを維持
2024年07月26日
-
監査・ガバナンス強化へ回帰する英国
昨年撤回した監査強化方針を復活し、ガバナンス・コードも厳格化へ
2024年07月25日
-
女性がキャリアを築ける職場ほど、子どもを持ちやすい
健保組合ごとの被保険者・被扶養者の出生率と、その要因の多変量解析
2024年07月24日
-
GX経済移行債に期待されるインパクトレポーティング
~GXの理解醸成促進に向けて~『大和総研調査季報』2024年夏季号(Vol.55)掲載
2024年07月24日
-
盛り上がりに欠ける英国の政権交代
2024年07月26日
よく読まれているリサーチレポート
-
「国債買入減額+利上げ」だけで長期金利は2%超えか
シナリオ別に見た日銀の国債買入減額による長期金利への影響試算
2024年06月12日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
第221回日本経済予測(改訂版)
賃上げ・物価高の先にある経済の姿と課題は?①賃上げ効果、②貿易デジタル赤字、③トランプリスク、を検証
2024年06月10日
-
「事業性融資の推進等に関する法律案」概要
事業性に着目した企業価値担保権の創設
2024年05月30日
-
バーゼルⅢ最終化による自己資本比率への影響の試算
標準的手法採用行では、自己資本比率が1%pt程度低下する可能性
2024年02月02日
「国債買入減額+利上げ」だけで長期金利は2%超えか
シナリオ別に見た日銀の国債買入減額による長期金利への影響試算
2024年06月12日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
第221回日本経済予測(改訂版)
賃上げ・物価高の先にある経済の姿と課題は?①賃上げ効果、②貿易デジタル赤字、③トランプリスク、を検証
2024年06月10日
「事業性融資の推進等に関する法律案」概要
事業性に着目した企業価値担保権の創設
2024年05月30日
バーゼルⅢ最終化による自己資本比率への影響の試算
標準的手法採用行では、自己資本比率が1%pt程度低下する可能性
2024年02月02日