サマリー
◆新型コロナウイルスのオミクロン株による感染状況の悪化によって、足下の個人消費や企業活動に関連した経済指標は軒並み悪化した。他方、オミクロン株による感染拡大は急激である一方で、収束も早い可能性があり、経済への悪影響も短期間で収まると見込まれる。大和総研は2021年10-12月期(前期比年率+6.3%→同+4.6%)及び2022年1-3月期(同+4.5%→同+2.4%)の実質GDP成長率見通しを引き下げた。他方、2月半ば以降は回復基調を強めると予想し、2022年4-6月期(同+3.3%→同+4.2%)の成長率を引き上げた。
◆感染拡大の悪影響が短期間で収まり得ることはポジティブ要因だが、感染収束後の回復ペースは、財政・金融政策による下支えが見込みにくいことから、従来と比べて力強さに欠ける恐れがある。財政政策に関しては、成長戦略の実現可能性が低下しつつある。成長戦略に含まれる児童税額控除の延長が難しい中で、低・中所得層の暮らし向きは悪化し、個人消費の回復ペースの再加速を抑制し得る。
◆また、FRBはインフレ加速への対応として金融政策の正常化(上半期は利上げ開始、下半期はバランスシートの縮小(QT)開始)を進め、金融環境は今後タイト化する見込みである。とりわけ、バランスシート縮小検討の過程は実質金利が上昇する傾向にあり、企業や家計の借入意欲の低下、ひいては投資・消費の抑制要因になり得ると考えられる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
米GDP 前期比年率▲0.3%とマイナスに転換
2025年1-3月期米GDP:追加関税を背景とした駆け込み輸入が下押し
2025年05月01日
-
米国の州年金基金とビットコイン現物ETF
「戦略的ビットコイン準備資産」の実現により保有ニーズが高まるか
2025年04月25日
-
「トランプ2.0」における米国金融規制の展望
~銀行システム、暗号資産ビジネスと結合か~『大和総研調査季報』2025年春季号(Vol.58)掲載
2025年04月24日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
-
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
-
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日