サマリー
◆2021年4月27・28日に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)では、政策金利であるFF(フェデラルファンド)レートの誘導目標レンジを0.00-0.25%に据え置いた。バランスシート政策に関しても、米国債等の購入ペースの変更は示されなかった。また、一部の市場参加者から注目されていた超過準備に対する付利金利(IOER)の引き上げについては、FF実効レートが安定的に推移する中で今回は見送られた。
◆今回のFOMCは、テーパリングに向けて、3月会合で示された経済見通し(SEP)に沿って、景気回復が進んでいるかを確認する会合であったといえる。ワクチン接種の進展や経済対策による景気押し上げ効果を基に、今回のFOMC声明文では、経済の現状や見通しに関して上方修正した。FOMCとしては足下の景気回復が上々の出来であったと判断したといえる。
◆進捗確認が進む中で、テーパリングの議論の開始時期を巡って見解の差異がある点は注意を要する。2013年もテーパリング議論の開始に関して市場が織り込み切れていなかったことで混乱が生じた。議論の開始がいつであれ、市場参加者が十分に織り込めるようにFRBがコミュニケーションを取れるかが、混乱再発を予防するカギとなろう。
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