サマリー
◆2021年3月の雇用統計では、非農業部門雇用者数が前月差+91.6万人と2020年8月以来の大幅な伸びとなり、失業率は同▲0.2%pt低下の6.0%となった。雇用者数が市場予想を上回る増分であったことに加え、幅広い業種で堅調な伸びとなったこと、そして過去分も上方修正されたことから、雇用環境の改善がいっそう強調される結果であったといえる。
◆新規失業保険申請件数から足下までの雇用環境の改善具合を見ると、60万件台後半から70万件台で推移しており、3月以降も概ね減少傾向にあり、雇用環境の改善は継続しているといえる。先行きに関しても、3月半ばに成立した1.9兆ドルの経済対策による景気の回復ペースの再加速やワクチン接種の進展に即して、雇用環境は引き続き改善していくものと考えられる。
◆雇用環境の回復ペースが再度鈍化するリスクとしては、新型コロナウイルスの第4波による感染再拡大であろう。CDC(米疾病対策センター)はワクチン接種が進み、新規感染者数が大きく増加していない現状をポジティブに捉える一方で、新型コロナウイルス感染に伴う入院患者数が増加傾向にある点は警戒が必要と指摘している。入院患者数が増加し、病床が不足すれば、一部の州・地域などでは規制緩和の一時停止や規制の再強化も考えられ、景気及び雇用環境の回復に水を差し得る点には注意を要しよう。
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