サマリー
◆2021年1月の雇用統計では、非農業部門雇用者数が前月差+4.9万人と増加に転じ、失業率は同▲0.4%pt低下の6.3%となった。他方、雇用者数は市場予想を下回り、過去分に関しても下方修正された。業種別で見ても、建設業や製造業、小売、運輸・倉庫、医療など幅広い業種で減少した。新型コロナウイルスの新規感染者数が高水準であり、政府による規制も継続する中で、その影響が波及したと考えられる。
◆他方、新型コロナウイルスの1日当たり新規感染者数は減少傾向にある。足下の雇用環境に関しても、新規失業保険申請件数は減少しつつあり、ISM非製造業景況感指数の構成指数である雇用指数も改善したことから、雇用環境が急激に悪化するリスクは和らいだといえる。とはいえ、新規感染者数は依然高水準にあり、政府の規制緩和も漸進的なものにならざるを得ない。雇用環境の回復が軌道に乗るのはワクチンの接種が進み、新型コロナウイルスの収束が見えてくる2021年中頃が目途となろう。
◆1月のFOMCでは、足下の雇用環境の悪化については注視しつつも、先行きに関しては過度に懸念しているわけではないことが示された。他方で、景気回復後のテーパリングに関して、議論は時期尚早と一蹴した。当面の間は金融政策が変更される可能性は低く、様子見姿勢が続くことが想定される。
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