サマリー
◆FOMC(連邦公開市場委員会)は、2020年3月3日に政策金利であるFF(フェデラルファンド)レートの誘導目標レンジを、従来の1.50-1.75%から0.50%pt引き下げ、1.00-1.25%にすることを決定した。内容は想定通りだが、3月17・18日に開催が予定されている次回定例のFOMCを待たずに緊急利下げに踏み切ったことはサプライズといえる。
◆今回のFOMCの声明文に、「適切に行動する」という利下げシグナルは残しており、FRBは更なる利下げ可能性に含みを持たせている。2月末にかけての株式相場の下落の影響は、4月に公表される3月分の経済統計の結果を待つ必要があり、見極めが続くことになる。今回の緊急利下げに引き続き、3月17・18日の次回定例のFOMCで利下げをすれば2008年10月以来の月内連続利下げとなり、「リーマン・ショック」並みというシグナルを持つことになる点にも留意が必要である。
◆もっとも、景気後退リスクが一段と高まれば、FRBもこうしたシグナル効果や利下げ余地等を考慮してはいられない。2月下旬のような株式・債券市場の急激な調整もFRBが更なる利下げを実施するトリガーにはなるだろう。すべては新型コロナウイルスがもたらす経済への悪影響次第であり、FRBの基本スタンスは市場・実体経済を注視する様子見姿勢となるだろう。
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