米国経済見通し 貿易が製造業の重石に

貿易赤字の拡大で、通商交渉の先行きは一層不透明

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2019年03月19日

  • ロンドンリサーチセンター シニアエコノミスト(LDN駐在) 橋本 政彦

サマリー

◆2018年の米国の貿易収支(財、通関ベース)は8,787億ドルの赤字と、2006年以来12年ぶりに過去最大を更新した。トランプ大統領は2018年以降、貿易赤字の削減を意図して、鉄鋼・アルミ製品や中国からの輸入品に対して追加関税を導入してきたが、そうした意図に反する結果になったと言える。

◆しかし、意図に反して貿易赤字が拡大したからと言って、トランプ大統領が保護主義的な通商政策から路線変更するとは考え難い。むしろ、2018年に貿易赤字が拡大した中国やEUに対しては、交渉姿勢が一層厳しくなる可能性すらあろう。

◆企業部門、とりわけ製造業では、通商政策を巡る不透明感や輸出の減速がマインド面、実体面での重石となっている。米国経済は、政府閉鎖などから2019年1-3月期は一旦減速する可能性が高い一方で、個人消費を中心に4-6月期には反動による高成長が期待されるが、製造業の停滞が足を引っ張る可能性には注意が必要であろう。

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