サマリー
◆2019年2月の非農業部門雇用者数は前月差+2.0万人と、ハリケーン被害によって下振れした2017年9月以来の小幅な増加に留まり、市場予想(Bloomberg調査:同+18.0万人)を大きく下回るネガティブな結果であった。
◆一方、家計調査による2月の失業率は、前月差▲0.2%ptの3.8%と、市場予想(3.9%)よりも良好な結果となった。失業率の内訳を見ると、就業者数が前月差+25.5万人と増加したことが、失業率の押し下げに寄与した。1月に政府閉鎖によって失業者としてカウントされていた政府職員などが、政府閉鎖の解除に伴って再び就業者となったことが就業者数の押し上げに寄与したとみられる。
◆2月の民間部門の平均時給は前月比+0.4%と、前月の同+0.1%から加速し、市場予想(同+0.3%)を上回った。また、前年比ベースの変化率は、前年比+3.4%と直近のピークである同+3.3%を上回り、2009年4月以来の高さとなった。労働需給のひっ迫が続く中、賃金上昇ペースの着実な加速が確認されたと言える。
◆今回の雇用統計では、景気動向に敏感な雇用者数の伸びが急減速しており、米国経済の減速懸念を高める結果であった。ただし、雇用の大宗を占める非製造業のマインドは高い水準を維持しており、サービス部門を中心とした雇用者数の増加は、先行きも継続すると見込む。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
統計公表停止中、米雇用環境に変化はあるか
足元は悪化基調が継続も、先行きは悪化一辺倒ではない
2025年11月14日
-
FOMC 0.25%pt利下げとQT一部停止を決定
先行きは過度な利下げ期待は禁物
2025年10月30日
-
トランプ2.0で加速する人手不足を克服できるか
~投資増による生産性向上への期待と課題~『大和総研調査季報』2025年秋季号(Vol.60)掲載
2025年10月24日

