米雇用者数は堅調、政府閉鎖の影響は軽微

2019年1月米雇用統計:賃金上昇率は減速し、インフレ圧力は限定的

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2019年02月04日

  • ロンドンリサーチセンター シニアエコノミスト(LDN駐在) 橋本 政彦

サマリー

◆2019年1月の非農業部門雇用者数は前月差+30.4万人と、2018年2月以来の大幅な増加となり、市場予想(Bloomberg調査:同+16.5万人)を大きく上回った。非農業部門雇用者数増減の3ヵ月移動平均値を見ても、同+24.1万人と2ヵ月連続で増加幅が拡大しており、雇用者数の増加ペースは非常に底堅い状況が続いている。

◆一方で、家計調査による1月の失業率は、前月差+0.1%ptと2ヵ月連続で上昇し、4.0%となった。失業率上昇の主な要因は労働参加率の上昇であり、内容はヘッドラインの印象ほどには悪くない。また、政府閉鎖によって1月の失業者数は押し上げられたとみられるが、政府閉鎖は1月25日に解除されており、2月分の雇用統計では失業者数は減少に転じる可能性が高いだろう。

◆1月の民間部門の平均時給は、前月比+0.1%と前月の同+0.4%から上昇幅が縮小し、市場予想(同+0.3%)を下回った。前年比ベースの変化率は前年比+3.2%と、前月の同+3.3%からわずかに縮小する形となっており、底堅い賃金上昇が続きつつも、上昇ペースは一旦足踏みする結果であった。

◆雇用者数の堅調な増加は個人消費を中心とした内需の拡大要因となり、内需の成長がさらなる雇用の増加をもたらすという、自律的な労働市場の改善は今後も継続すると見込まれる。だが、減税効果の減衰や、海外経済の減速、通商政策や財政を巡る不透明感などの要因には注意が必要であろう。企業マインドの一層の悪化によって雇用者数の増勢が鈍化する可能性は高まっている。

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