サマリー
◆2019年1月の非農業部門雇用者数は前月差+30.4万人と、2018年2月以来の大幅な増加となり、市場予想(Bloomberg調査:同+16.5万人)を大きく上回った。非農業部門雇用者数増減の3ヵ月移動平均値を見ても、同+24.1万人と2ヵ月連続で増加幅が拡大しており、雇用者数の増加ペースは非常に底堅い状況が続いている。
◆一方で、家計調査による1月の失業率は、前月差+0.1%ptと2ヵ月連続で上昇し、4.0%となった。失業率上昇の主な要因は労働参加率の上昇であり、内容はヘッドラインの印象ほどには悪くない。また、政府閉鎖によって1月の失業者数は押し上げられたとみられるが、政府閉鎖は1月25日に解除されており、2月分の雇用統計では失業者数は減少に転じる可能性が高いだろう。
◆1月の民間部門の平均時給は、前月比+0.1%と前月の同+0.4%から上昇幅が縮小し、市場予想(同+0.3%)を下回った。前年比ベースの変化率は前年比+3.2%と、前月の同+3.3%からわずかに縮小する形となっており、底堅い賃金上昇が続きつつも、上昇ペースは一旦足踏みする結果であった。
◆雇用者数の堅調な増加は個人消費を中心とした内需の拡大要因となり、内需の成長がさらなる雇用の増加をもたらすという、自律的な労働市場の改善は今後も継続すると見込まれる。だが、減税効果の減衰や、海外経済の減速、通商政策や財政を巡る不透明感などの要因には注意が必要であろう。企業マインドの一層の悪化によって雇用者数の増勢が鈍化する可能性は高まっている。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
米GDP 前期比年率+2.8%と加速
2024年4-6月期米GDP:内需主導での堅調さを維持
2024年07月26日
-
監査・ガバナンス強化へ回帰する英国
昨年撤回した監査強化方針を復活し、ガバナンス・コードも厳格化へ
2024年07月25日
-
女性がキャリアを築ける職場ほど、子どもを持ちやすい
健保組合ごとの被保険者・被扶養者の出生率と、その要因の多変量解析
2024年07月24日
-
GX経済移行債に期待されるインパクトレポーティング
~GXの理解醸成促進に向けて~『大和総研調査季報』2024年夏季号(Vol.55)掲載
2024年07月24日
-
盛り上がりに欠ける英国の政権交代
2024年07月26日
よく読まれているリサーチレポート
-
「国債買入減額+利上げ」だけで長期金利は2%超えか
シナリオ別に見た日銀の国債買入減額による長期金利への影響試算
2024年06月12日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
第221回日本経済予測(改訂版)
賃上げ・物価高の先にある経済の姿と課題は?①賃上げ効果、②貿易デジタル赤字、③トランプリスク、を検証
2024年06月10日
-
「事業性融資の推進等に関する法律案」概要
事業性に着目した企業価値担保権の創設
2024年05月30日
-
バーゼルⅢ最終化による自己資本比率への影響の試算
標準的手法採用行では、自己資本比率が1%pt程度低下する可能性
2024年02月02日
「国債買入減額+利上げ」だけで長期金利は2%超えか
シナリオ別に見た日銀の国債買入減額による長期金利への影響試算
2024年06月12日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
第221回日本経済予測(改訂版)
賃上げ・物価高の先にある経済の姿と課題は?①賃上げ効果、②貿易デジタル赤字、③トランプリスク、を検証
2024年06月10日
「事業性融資の推進等に関する法律案」概要
事業性に着目した企業価値担保権の創設
2024年05月30日
バーゼルⅢ最終化による自己資本比率への影響の試算
標準的手法採用行では、自己資本比率が1%pt程度低下する可能性
2024年02月02日