サマリー
◆2018年12月18日~12月19日に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)では、政策金利であるFF(フェデラルファンド)レートの誘導目標レンジを、従来の2.00-2.25%から0.25%pt引き上げ、2.25-2.50%にすることが決定された。金融市場では今回会合での利上げが事前に確実視されていたため、利上げの決定にサプライズはない。
◆声明文では、経済の現状認識については、ほぼ前回声明文のまま据え置かれた。また、経済見通し、金融政策運営方針に関する部分についても、基本的な見方は変わっておらず、経済の拡大、力強い労働市場、2%近傍のインフレ率の上昇が続く中、さらなる緩やかな利上げを続けるという見方が維持された。
◆今回のFOMCにおける最大の注目点であった、FOMC参加者の政策金利の見通し(ドットチャート)では、2019年末、2020年末、2021年末が、それぞれ前回見通しから▲0.250%pt低下した。だが、FOMC参加者による中立金利見通しである、FF金利の長期見通しの中央値も、前回見通しから▲0.250%pt引き下げられており、中立金利を上回る水準まで利上げを続けるという政策スタンス自体は変化していないと解釈できる。
◆金利正常化に一定の目途が立つ中、FOMC参加者内では政策決定に際して経済指標の重要性が高まっていることが共有されている。原油価格下落やドル高によってインフレ率が減速すれば、一部のFOMC参加者が追加利上げに対して慎重になる可能性があろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
米国経済見通し 関税政策はマイルド化へ
トランプ大統領に対する世論と共和党内の不満の高まりが抑止力に
2025年11月25日
-
政府閉鎖前の雇用環境は緩やかな悪化が継続
2025年9月米雇用統計:雇用者数は増加に転じるも、回復は緩やか
2025年11月21日
-
統計公表停止中、米雇用環境に変化はあるか
足元は悪化基調が継続も、先行きは悪化一辺倒ではない
2025年11月14日
最新のレポート・コラム
-
他市場にも波及する?スタンダード市場改革
少数株主保護や上場の責務が問われると広範に影響する可能性も
2025年12月03日
-
消費データブック(2025/12/2号)
個社データ・業界統計・JCB消費NOWから消費動向を先取り
2025年12月02日
-
「年収の壁」とされる課税最低限の引上げはどのように行うべきか
基礎控除の引上げよりも、給付付き税額控除が適切な方法
2025年12月02日
-
2025年7-9月期法人企業統計と2次QE予測
AI関連需要の高まりで大幅増益/2次QEでGDPは小幅の下方修正へ
2025年12月01日
-
ビットコイン現物ETFとビットコイントレジャリー企業株式
2025年12月05日

