賃金上昇率は2009年以来の高さに

2018年8月米雇用統計:雇用者数の伸びも+20.1万人と堅調維持

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2018年09月10日

  • ロンドンリサーチセンター シニアエコノミスト(LDN駐在) 橋本 政彦

サマリー

◆2018年8月の非農業部門雇用者数は前月差+20.1万人となり、市場予想(Bloomberg調査:同+19.0万人)を上回った。過去分に関して、2ヵ月合計で▲5.0万人下方修正されたことから、市場予想対比での上振れはやや割り引いて見る必要があるが、雇用者数は引き続き堅調なペースで増加している。

◆家計調査による8月の失業率は、低下を見込んでいた市場予想(3.8%)に反して、前月から横ばいの3.9%となった。労働参加率、就業率はいずれも前月から低下しており、単月の結果として内容は良くない。ただし、失業率は引き続き低水準にあり、労働需給が非常にひっ迫しているという状況に変わりはない。

◆8月の民間部門の平均時給は、前月から10セント上昇、前月比+0.4%となり、市場予想(同+0.2%)を上回った。また、前年比変化率も+2.9%と2009年6月以来の高い伸びを記録し、市場予想(同+2.7%)を上回るポジティブな結果となった。

◆雇用者数の堅調な増加と賃金上昇率の加速が確認され、今回の雇用統計は、次回、9月のFOMCでの利上げを後押しする結果であったと言える。また、賃金上昇率の加速は、既に目標の2%に達しているインフレ率の上振れリスクを高めるものであり、大和総研では12月のFOMCでさらに利上げを行うという従来の見方を維持する。

◆現状では、関税による悪影響は一部の業種、企業に限られているとみられるが、トランプ政権は中国に対するさらなる追加関税や、自動車・同部品への追加関税を検討していると伝えられており、悪影響は今後一層拡大する可能性がある。関税によるコストの増加や、通商政策を巡る不透明感の高まりが企業の採用意欲の低下に繋がるリスクは十分注視していく必要があろう。

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