サマリー
◆米国政府は、7月6日から340億ドル相当の中国製品に対し、25%の追加関税の賦課を開始した。こうした米国の措置に対し、中国政府も対抗措置として、米国による関税発動と同時刻から、米国による関税と同規模の製品に対して25%の追加関税賦課を開始した。
◆中国が7月6日から報復関税を実施したことで、米国による2,000億ドル規模の中国製品への追加関税が実行へ移される可能性は高まっている。USTRが公表した関税リスト案では、電子機器などの消費財が金額全体の2割強を占めており、仮に関税が実行されれば、家計に対する影響は、これまでの関税よりも大きなものになると考えられる。
◆また、米国による追加的な関税が実施されたとして、中国側が更なる報復を実施すれば、当然ながら米国の輸出産業へのダメージは大きくなる。中国の米国からの輸入金額はおよそ1,300億ドルであり、2,000億ドル規模の米国製品への関税は難しい。中国国内で活動する米国企業への規制当局による監督強化など、関税以外の方法での対抗措置が取られる可能性があり、そうなれば悪影響は単純な輸出入のみの問題ではなくなる。
◆2018年4-6月期の実質GDP成長率は、前期比年率+3.9%と、前期の同+2.0%から加速すると予想する。先行きも米国経済は内需を中心とした景気拡大が続くという見方をあくまで基本シナリオと考えるが、貿易摩擦が今後さらに激化し、内需の成長を阻害するリスクは高まっている。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
非農業部門雇用者数は前月差+2.2万人
2025年8月米雇用統計:雇用環境の悪化が継続し、利下げが近づく
2025年09月08日
-
米国経済見通し 景気下振れの懸念強まる
雇用環境が悪化傾向を示す中、屋台骨の個人消費は楽観しづらい
2025年08月22日
-
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
-
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
-
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日