サマリー
◆2018年6月12日~13日に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)では、政策金利であるFF(フェデラルファンド)レートの誘導目標レンジを、従来の1.50-1.75%から0.25%pt引き上げ、1.75-2.00%とすることが決定された。金融市場では、今回の会合での利上げが事前に確実視されていたため、決定内容にサプライズはない。
◆今回公表された声明文では、経済指標の実績を反映して経済に対する現状認識が上方修正された上で、金融政策については従来通り、緩やかなペースで利上げを継続していくという方針が維持された。
◆一方、今回の声明文では、将来の金融政策スタンスに関して、フォワードガイダンスの部分が大幅に削除された。パウエル議長は声明文公表後の記者会見で、フォワードガイダンスに関して、「来年に政策金利が正常な長期水準とみられる範囲に達すると見込まれるため、取り除くことが適切と考えた」とした上で、将来の金融政策スタンスの大幅な変更を示すものではないと説明している。
◆今回のFOMCにおける最大の注目点であった、FOMC参加者の政策金利の見通し(ドットチャート)では、2018年末の中央値は2.375%と2018年3月時点の見通し(2.125%)から0.250%pt上方修正され、2018年に合計4回(3月、6月の利上げに加えて、年内にあと2回)の利上げを見込む結果となった。ただし、個別回答の分布を見ると、2018年内に4回以上の利上げを見込む参加者は、3月時点の7人から、今回は8人へと1人増えたのみであり、引き続きFOMC内部でも意見が分かれている。
◆大和総研では以前から、2018年内に合計4回の利上げを見込んでいるが、今回のFOMCの結果を受けて、その見方に変更はない。2018年内にはあと4回(7月31日~8月1日、9月25日~26日、11月7日~8日、12月18日~19日)のFOMCが残されているが、経済見通しの公表、および記者会見が予定される9月、12月に利上げが実施されると予想する。
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