サマリー
◆2018年2月の非農業部門雇用者数は前月差+31.3万人と前月から増加幅が拡大し、市場予想(Bloomberg調査:同+20.5万人)を大きく上回る良好な結果となった。3ヵ月移動平均値は前月差+24.2万人と、前月の同+21.0万人から加速しており、これまで緩やかな増加基調が続いてきた雇用者数は、足下で増勢を強めている。
◆雇用者数の増減を部門別に見ると、民間サービス部門が前月差+18.7万人と前月から加速したことに加えて、生産部門が同+10.0万人と1998年8月以来の大幅な増加を記録し、全体を押し上げた。また、政府部門についても、同+2.6万人と高めの伸びとなった。
◆家計調査による2月の失業率は4.1%となった。低下を見込んでいた市場予想(4.0%)に反して前月から横ばいとなったが、内容は決して悪くない。就業者数は前月差+78.5万人と大幅に増加する一方で、非労働力人口が同▲65.3万人と大幅に減少しており、失業率の低下を抑制する要因となった。
◆民間部門の平均時給は、前月から4セント上昇、前月比+0.1%となり、市場予想(同+0.2%)を下回った。また、前年比変化率も+2.6%と市場予想(同+2.8%)を下回り、3ヵ月ぶりの低い伸びとなった。1月分も前年比+2.9%から、同+2.8%へと修正されており、賃金上昇率加速への期待感をトーンダウンさせる結果であったと言える。
◆金融政策に関連して、今回最も注目されていた賃金上昇率は下振れする結果となったが、2%のインフレ目標の達成に向け、インフレ率が徐々に加速していくというFOMC(連邦公開市場委員会)参加者のシナリオに修正を迫るような結果ではなかったと言える。今回の雇用統計の結果を踏まえ、3月20-21日のFOMCでの利上げの実施、および2018年内に3回の利上げという従来の見通しに変更はない。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
米国経済見通し 関税政策はマイルド化へ
トランプ大統領に対する世論と共和党内の不満の高まりが抑止力に
2025年11月25日
-
政府閉鎖前の雇用環境は緩やかな悪化が継続
2025年9月米雇用統計:雇用者数は増加に転じるも、回復は緩やか
2025年11月21日
-
統計公表停止中、米雇用環境に変化はあるか
足元は悪化基調が継続も、先行きは悪化一辺倒ではない
2025年11月14日
最新のレポート・コラム
-
他市場にも波及する?スタンダード市場改革
少数株主保護や上場の責務が問われると広範に影響する可能性も
2025年12月03日
-
消費データブック(2025/12/2号)
個社データ・業界統計・JCB消費NOWから消費動向を先取り
2025年12月02日
-
「年収の壁」とされる課税最低限の引上げはどのように行うべきか
基礎控除の引上げよりも、給付付き税額控除が適切な方法
2025年12月02日
-
2025年7-9月期法人企業統計と2次QE予測
AI関連需要の高まりで大幅増益/2次QEでGDPは小幅の下方修正へ
2025年12月01日
-
ビットコイン現物ETFとビットコイントレジャリー企業株式
2025年12月05日

