サマリー
◆2017年10月の非農業部門雇用者数は前月差+26.1万人となり、2016年7月以来の高い伸びとなった。最大の要因は、ハリケーンの影響で9月に減速したサービス業の雇用者数が、復旧に伴って大幅な増加に転じたことである。
◆家計調査による10月の失業率は前月から▲0.1%pt低下の4.1%となり(市場予想:4.2%)、今景気回復局面における最低値を更新した。これは2000年12月以来の低水準である。ただし、失業率の内訳を見ると、今回、失業率が低下した最大の要因は、非労働力人口が大幅に増加したことであり、内容はさほど良くない。
◆10月の民間部門の平均時給は前月から1セント低下、前月比▲0.0%となり、市場予想(同+0.2%)を下回る結果となった。時給の低下は2014年12月以来、約3年ぶりである。9月の加速を受けて、賃金上昇率の加速に対する期待感が高まっていたが、そうした期待を裏切るネガティブな結果であった。
◆インフレ率の鈍化がこのところの最大の注目点となっているFRB(連邦準備制度理事会)にとって、今回の雇用統計で賃金上昇率が鈍化したことは、今後の利上げペースを緩やかにさせる要因になると考えられる。ただし、金融市場は雇用統計の公表後も12月のFOMC(連邦公開市場委員会)での利上げを高い確率で織り込んでおり、利上げが見送られる可能性は低い。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
FOMC 様子見姿勢を強調
景気・インフレに加え、金融環境の変化が利下げのタイミングを左右
2025年05月08日
-
非農業部門雇用者数は前月差+17.7万人
2025年4月米雇用統計:景気への不安が高まる中で底堅い結果
2025年05月07日
-
米GDP 前期比年率▲0.3%とマイナスに転換
2025年1-3月期米GDP:追加関税を背景とした駆け込み輸入が下押し
2025年05月01日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
-
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
-
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
-
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日