サマリー
◆2017年9月の非農業部門雇用者数は前月差▲3.3万人と、2010年9月以来の減少に転じ、市場予想(Bloomberg調査:同+8.0万人)から大幅に下振れする結果となった。ハリケーン・ハービー、イルマによる被害が影響したとみられ、サービス業の雇用者数が大幅に減少した。
◆9月の失業率は前月から▲0.2%pt低下の4.2%となり(市場予想:4.4%)、2001年2月以来の低水準となった。事業所調査による非農業部門雇用者数が減少したにもかかわらず、家計調査による就業者数は大幅に増加し、失業率を押し下げた。失業者数に加えて、非労働力人口も前月から減少しており、失業者、非労働力者の双方の就業が進む、非常に良好な内容であったと言える。
◆9月の民間部門の平均時給は前月から12セント上昇、前月比+0.5%となり、市場予想(同+0.3%)を上回った。前年比変化率は+2.9%と、2016年12月につけた直近のピークと同程度まで伸びが加速しており、このところ伸び悩んできた賃金の再加速を期待させる結果となった。
◆非農業部門雇用者数の減少は、あくまでハリケーンによる一時的な影響によるものであり、被災地域の復旧に伴って悪影響は剥落していくことになろう。米国経済は一時的な要因を除けば底堅く推移しているとみられ、雇用者数は増加基調に復する公算が大きい。また、先行きに関しては被災地域での復興需要が顕在化することで、建設業などを中心に労働需要が押し上げられるとみられる。今回の雇用統計で再加速する兆しが見られた賃金上昇率は、労働需給のさらなるひっ迫によって、増勢を強めていくことになろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
米国、設備投資費用の即時償却を復活・拡張
製造業・情報産業の新規投資、及び対米直接投資の増加要因か
2025年10月07日
-
米国経済見通し 利下げ再開後の注目点は?
景気下振れリスクが懸念される時こそ、インフレ動向を注視すべき
2025年09月24日
-
FOMC 0.25%ptの利下げを決定
先行きの利下げペースに関しては予想がばらつく
2025年09月18日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
-
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
-
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
-
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日