サマリー
◆2017年7月の非農業部門雇用者数は前月差+20.9万人となり、市場予想(Bloomberg調査:同+18.0万人)を上回った。前月(同+23.1万人)から増加幅は縮小したものの、好調の目安とされる同+20万人を2ヵ月連続で上回っており、雇用者数は堅調な増加が続いている。
◆7月の失業率は、前月から▲0.1%pt低下の4.3%となり、市場予想通りの結果であった。失業率変化の内訳を見ると、労働参加率の上昇が失業率を押し上げる要因になったものの、就業者増加による失業率の押し下げが大きく、失業率は前月から低下した。
◆7月の民間部門の平均時給は前月から9セント上昇、前月比+0.3%と市場予想通りの結果であった。前月から伸び率は加速しており、賃金上昇の再加速を期待させる結果であったと言える。前年比変化率は+2.5%と、ここ4ヵ月間同じ伸びが続き、2017年初からの伸び率の鈍化に歯止めが掛かりつつある。
◆賃金上昇率に加速が見られていないことから、短期的にインフレ率が上振れする可能性は低いとみられる。一方で、今回の雇用統計では、雇用者数の堅調な増加と失業率の低下が見られ、将来に向けた潜在的なインフレ圧力の高まりが確認された。これは中期的にインフレ率がFRBの目標である2%に近づいていくというFOMCメンバーの見通しをサポートする結果であり、年内のあと1回の利上げを正当化すると考えられる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
FOMC 様子見姿勢を強調
景気・インフレに加え、金融環境の変化が利下げのタイミングを左右
2025年05月08日
-
非農業部門雇用者数は前月差+17.7万人
2025年4月米雇用統計:景気への不安が高まる中で底堅い結果
2025年05月07日
-
米GDP 前期比年率▲0.3%とマイナスに転換
2025年1-3月期米GDP:追加関税を背景とした駆け込み輸入が下押し
2025年05月01日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
-
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
-
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
-
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日