サマリー
◆2017年7月25日~26日に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)では、政策金利であるFF(フェデラルファンド)レートの誘導目標レンジを、従来通りの1.00-1.25%で据え置くことが決定された。
◆FRB(連邦準備制度理事会)が保有する資産の規模については、現状の水準を維持することが決定された。バランスシート縮小の開始時期に関して、具体的な言及はなかったものの、「比較的早期に(relatively soon)」開始するとされた。
◆今回の声明文で用いられた「比較的早期に」という表現は、イエレン議長が7月12日の下院金融サービス委員会での議会証言において用いた表現であり、FOMC参加者内での意見の集約が進んでいることがうかがえる。金融市場でも、次回、9月19日~20日のFOMCでのバランスシート縮小開始の織り込みは着実に進み、FRBが政策変更をしやすい環境は整いつつある。次回のFOMCでバランスシート縮小の開始が決定されると大和総研では予想する。
◆バランスシート縮小の議論が一服すれば、先行きの利上げペースが再び注目点となる。今回のFOMCの声明文では、景気認識はほぼ変更されなかったが、今後バランスシート縮小が開始された場合に、その影響によって見通しが修正される可能性があろう。目下、インフレ率の鈍化がFRBの最大の懸念事項であり、これがFRBの想定通りに目標である2%に向かって加速していくか否かがポイントとなる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
非農業部門雇用者数は前月差+14.7万人
2025年6月米雇用統計:民間部門の雇用者数は減速も、失業率は低下
2025年07月04日
-
米国経済見通し 駆け込みの反動一巡後の注目点は?
追加関税措置次第となる中、トランプ大統領を“TACO”と嘲るべからず
2025年06月24日
-
FOMC 様子見姿勢を継続
経済指標の基調の捉えにくさと正確性への懸念は利下げ遅延リスクを高める
2025年06月19日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
第225回日本経済予測(改訂版)
人口減少下の日本、持続的成長への道筋①成長力強化、②社会保障制度改革、③財政健全化、を検証
2025年06月09日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
「トランプ2.0」、外国企業への「報復課税」?
Section 899(案)、米国に投資する日本企業にもダメージの可能性有
2025年06月13日
-
日本経済見通し:2025年5月
経済見通しを改訂/景気回復を見込むもトランプ関税などに警戒
2025年05月23日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
第225回日本経済予測(改訂版)
人口減少下の日本、持続的成長への道筋①成長力強化、②社会保障制度改革、③財政健全化、を検証
2025年06月09日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
「トランプ2.0」、外国企業への「報復課税」?
Section 899(案)、米国に投資する日本企業にもダメージの可能性有
2025年06月13日
日本経済見通し:2025年5月
経済見通しを改訂/景気回復を見込むもトランプ関税などに警戒
2025年05月23日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日