FOMC バランスシート縮小は「比較的早期に」

具体的な開始時期は明言されずも、9月決定に向け一歩前進

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2017年07月27日

  • ロンドンリサーチセンター シニアエコノミスト(LDN駐在) 橋本 政彦

サマリー

◆2017年7月25日~26日に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)では、政策金利であるFF(フェデラルファンド)レートの誘導目標レンジを、従来通りの1.00-1.25%で据え置くことが決定された。


◆FRB(連邦準備制度理事会)が保有する資産の規模については、現状の水準を維持することが決定された。バランスシート縮小の開始時期に関して、具体的な言及はなかったものの、「比較的早期に(relatively soon)」開始するとされた。


◆今回の声明文で用いられた「比較的早期に」という表現は、イエレン議長が7月12日の下院金融サービス委員会での議会証言において用いた表現であり、FOMC参加者内での意見の集約が進んでいることがうかがえる。金融市場でも、次回、9月19日~20日のFOMCでのバランスシート縮小開始の織り込みは着実に進み、FRBが政策変更をしやすい環境は整いつつある。次回のFOMCでバランスシート縮小の開始が決定されると大和総研では予想する。


◆バランスシート縮小の議論が一服すれば、先行きの利上げペースが再び注目点となる。今回のFOMCの声明文では、景気認識はほぼ変更されなかったが、今後バランスシート縮小が開始された場合に、その影響によって見通しが修正される可能性があろう。目下、インフレ率の鈍化がFRBの最大の懸念事項であり、これがFRBの想定通りに目標である2%に向かって加速していくか否かがポイントとなる。

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