サマリー
◆トランプ大統領は2月9日に「向こう2、3週間に税、および航空インフラ開発に関して、目を見張るような発表を行う」と発言し、減税に対する期待感が大きく高まっている。トランプ大統領は上下両院合同会議での演説を2月28日に予定しており、経済政策の具体的な姿が漸く明らかになると見込まれる。
◆トランプ大統領が税制改革に対する考え方を明らかにした後も、それがすぐに実行されるとは限らない。共和党のポール・ライアン下院議長は、議会における政策の優先順位はあくまでオバマケアの廃止・置き換えにあることを表明している。加えて、3月16日には延長されていた債務上限の適用が再開されることもあり、税制改革に関する議論がどれだけ進められるかは、不透明感が非常に強い。
◆FRBにとっても財政政策の行方が金融政策運営を考える上での大きな不確定要因になっている。次回の3月14日~15日のFOMCまでに、トランプ大統領による財政政策の内容が幾分明らかになるとみられるが、FOMC参加者は金融市場の反応も含めて、財政政策の影響を見極めていく必要がある。市況要因を除いた基調的なインフレ率や賃金に過熱感が見られていないため、市場が十分に利上げを織り込んでいない状況で、利上げを急ぐ可能性は低いだろう。
◆足下の米国経済の現状を確認すると、緩やかながら着実な成長が続いている。雇用者数の増加を背景に、個人消費は堅調さを維持していることに加えて、設備投資の持ち直しの動きが継続するなど総じて底堅い。政策に対する期待感が経済にとってプラスの効果を表し始めている部分もあるとみられ、政策動向は短期的な経済動向にも影響を及ぼす可能性があろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
非農業部門雇用者数は前月差+13.9万人
2025年5月米雇用統計:緩やかな悪化に留まっていることを示唆
2025年06月09日
-
米国経済見通し 米中デタントも、景気は減速へ
財政悪化と学生ローン政策の変更が景気を一層減速させるリスク要因
2025年05月23日
-
FOMC 様子見姿勢を強調
景気・インフレに加え、金融環境の変化が利下げのタイミングを左右
2025年05月08日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
-
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日