サマリー
◆2016年8月の非農業部門雇用者数は前月差+15.1万人となった。好不調の目安と言われる同+20万人を3ヵ月ぶりに下回り、市場予想(Bloomberg調査:同+18.0万人)にも届かなかった。しかし、景気減速を懸念するほど悪い結果でもなく、均して見れば雇用の増加ペースは底堅い。
◆8月の失業率は、低下を見込んでいた市場予想(Bloomberg調査:4.8%)に反して、前月から横ばいの4.9%となった。失業者数は前月差+7.9万人と2ヵ月ぶりに増加したが、就業者数が同+9.7万人増加したことに加え、非労働力人口が同+5.8万人と3ヵ月ぶりの増加に転じたことが、失業率の上昇を抑制する要因となった。失業率だけでなく労働参加率、就業率も前月から横ばいとなり、全般的に改善は足踏みしている。
◆8月の民間部門の平均時給は前月から3セント上昇、前月比+0.1%の小幅上昇に留まり、市場予想(Bloomberg調査:同+0.2%)を下回った。前年比で見た平均時給も+2.4%と前月から伸びが縮小しており、賃金上昇率は減速する結果となった。
◆9月FOMCでの利上げの可能性を模索する意味で、今回の雇用統計は注目度が高かったが、ヘッドラインである非農業部門雇用者数の伸びが市場予想に比べて弱かったこと、潜在的なインフレ圧力となる賃金上昇率が減速したことにより、FRBが利上げを急ぐ可能性は低下したと考える。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
米失業率は4.6%に上昇
2025年10・11月米雇用統計:政府閉鎖の影響を踏まえ、慎重な評価が必要
2025年12月17日
-
米銀最大手、9.7兆ドルの国債保有増加余地
レバレッジ比率緩和、米国国債市場の機能改善をもたらすか
2025年12月16日
-
FOMC 3会合連続で0.25%の利下げを決定
2026年は合計0.25%ptの利下げ予想も、不確定要素は多い
2025年12月11日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2025年10月
高市・自維連立政権の下で経済成長は加速するか
2025年10月22日
-
非財務情報と企業価値の連関をいかに示すか
定量分析の事例調査で明らかになった課題と今後の期待
2025年11月20日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
第227回日本経済予測
高市新政権が掲げる「強い経済」、実現の鍵は?①実質賃金引き上げ、②給付付き税額控除の在り方、を検証
2025年11月21日
-
グラス・ルイスの議決権行使助言が大変化
標準的な助言基準を廃し、顧客ごとのカスタマイズを徹底
2025年10月31日
日本経済見通し:2025年10月
高市・自維連立政権の下で経済成長は加速するか
2025年10月22日
非財務情報と企業価値の連関をいかに示すか
定量分析の事例調査で明らかになった課題と今後の期待
2025年11月20日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第227回日本経済予測
高市新政権が掲げる「強い経済」、実現の鍵は?①実質賃金引き上げ、②給付付き税額控除の在り方、を検証
2025年11月21日
グラス・ルイスの議決権行使助言が大変化
標準的な助言基準を廃し、顧客ごとのカスタマイズを徹底
2025年10月31日

