米国の低所得者子供向け公的医療保険、CHIP

CHIPの設立によって子供の無保険率が大幅に低下

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2016年08月31日

  • ニューヨークリサーチセンター 上野 まな美

サマリー

◆米国の児童医療保険プログラム(CHIP: Children’s Health Insurance Program)は、各州が主体となって低所得家計の19歳以下の子供に対し、無料または低コストの医療保険を提供する公的医療保険制度である。CHIPは無保険の子供を減らすことを目的に1997年の均衡予算法で設立され、2009年の児童医療保険再認可法によって加入資格の基準が緩和された。そして、続く2010年のオバマケアによって、2019会計年度までCHIPの継続が認められた。


◆連邦政府と州が共同でCHIPに資金を拠出しているが、州が連邦規則に従って独自のCHIPを立案、運営しており、州のメディケイドと密接に連携している。州はメディケイド・エクスパンジョンCHIP、セパレートCHIP、コンビネーションCHIPのいずれかを運営している。


◆CHIPは設立されて以来、あらゆる面においてプラスの効果を表しており、成功を収めていると評価されている。CHIPへの加入を推進する活動の成果が表れ、無保険の低所得家計の子供のCHIPへの加入率が上昇した。また、CHIPの医療サービスの利用が増加し、低所得者の医療費に対する経済的負担が軽減された。CHIPは低所得者の経済的困難時における医療保険のセーフティネットとなっており、低所得者におけるCHIPの認知度は高く、CHIPに加入後の残留率も高くなっている。

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