サマリー
◆1月のFOMC(連邦公開市場委員会)では政策変更はなく、海外経済と金融市場動向を注視するとの文言が復活した。資源輸出に依存した国々の経済情勢は不安視されており、IMFは国際金融システム不安に発展することを警戒している。
◆労働市場では、雇用者数の増加幅が縮小する一方で失業率が内容を伴って低下し、賃金上昇ペースが加速する兆しが見られている。株価下落などの影響は懸念材料だが総じて堅調と言え、労働市場の改善に支えられた個人消費は底堅い。企業部門は製造業の軟調さが続いていることに加えて非製造業の景況感も減速感が強まっている。
◆米国の家計や金融部門の健全性は改善し、内需は堅調であることから、FOMC参加者にとっては、海外経済や金融市場からの影響がどのように及び、インフレ率が上昇に向かうかを確認することが、より重要な論点になっている可能性がある。
◆米国経済は減速しつつも緩やかな改善基調を維持している。原油価格が安定化すれば、インフレ率は2016年後半にかけて、上昇幅が拡大すると見込まれており、インフレに対する議論が高まる可能性が高い。
◆海外経済の減速や金融市場の混乱などから景気の下振れリスクは高まっているものの、個人消費と雇用・所得の循環的な拡大が続く見込みである。米国経済の先行きについて、個人消費の増加に支えられて緩やかな景気拡大が続くという基本シナリオを修正する必要はないと考える。
◆大統領選の各党候補者選びは、アイオワ州の党員集会から始まった。予備選、党員集会が集中する3月1日の「スーパー・チューズデー」を経て3月中には各党の候補者の大勢が決するだろう。候補者の絞込みが進めば、提案される政策の優先順位と蓋然性が少しずつ明確になり、FRBの経済見通しも左右することになろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
米GDP 前期比年率▲0.3%とマイナスに転換
2025年1-3月期米GDP:追加関税を背景とした駆け込み輸入が下押し
2025年05月01日
-
米国の州年金基金とビットコイン現物ETF
「戦略的ビットコイン準備資産」の実現により保有ニーズが高まるか
2025年04月25日
-
「トランプ2.0」における米国金融規制の展望
~銀行システム、暗号資産ビジネスと結合か~『大和総研調査季報』2025年春季号(Vol.58)掲載
2025年04月24日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
-
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
-
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日