サマリー
◆2015年10-12月期の実質GDP成長率は前期比年率+0.7%となった。市場予想をわずかながら下回ったものの、各需要項目の動きなど、内容も含めて大きなサプライズはない。成長率が減速した主な要因は、①個人消費の伸びの鈍化、②海外経済減速とドル高による輸出の不振、③輸出不振と原油価格下落を受けた設備投資減少、の3点である。
◆個人消費は前期比年率+2.2%となり、市場予想を上回った。前期から減速する結果となったが、前期比年率+2%台の伸びは過去のトレンドから見れば決して低い伸びではなく、個人消費の底堅い増加がGDP全体を下支えしたと評価すべきだろう。
◆製造業を中心に景気の減速感が高まる中でも、労働市場は着実な改善が続き、家計の雇用・所得環境は非常に底堅い。製造業の停滞が悪材料であることは確かだが、それによって労働市場全体が腰折れするとは考え難いだろう。2016年初からの株価下落などもあり、景気の下振れリスクは高まっているものの、個人消費の増加に支えられて緩やかな景気拡大が続くという基本シナリオを修正する必要はないと考える。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
非農業部門雇用者数は前月差+13.9万人
2025年5月米雇用統計:緩やかな悪化に留まっていることを示唆
2025年06月09日
-
米国経済見通し 米中デタントも、景気は減速へ
財政悪化と学生ローン政策の変更が景気を一層減速させるリスク要因
2025年05月23日
-
FOMC 様子見姿勢を強調
景気・インフレに加え、金融環境の変化が利下げのタイミングを左右
2025年05月08日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
-
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日