2016年の米国経済見通し

好循環が働くことで経済が下振れするリスクは小さい

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2015年12月18日

  • 土屋 貴裕
  • ロンドンリサーチセンター シニアエコノミスト(LDN駐在) 橋本 政彦

サマリー

◆2015年の米国経済は、悪天候や港湾スト、海外から波及した金融市場の混乱などの一時的要因で落ち込んだが、雇用・所得環境の改善が続き、底堅く景気は拡大した。堅調な経済動向を踏まえて、12月のFOMC(連邦公開市場委員会)で利上げ開始が決まった。


◆足下では、一時懸念された雇用環境が持ち直して賃金の伸びが高まってきた。個人消費は所得増加ペースに沿って改善し、住宅投資もやや減速したが改善が続いている。他方で、企業部門、とりわけ製造業では減速感が一層強まっている。


◆2016年の金融政策は、インフレ率が徐々に加速することに伴い、政策金利が0.25%ptずつ2~3回程度、慎重なペースで引き上げられるだろう。2016年の大きなイベントである大統領選については、経済政策も含めて、政策の実像と各候補者にとっての政策の優先順位が見え始めるのは早くても3月頃となろう。


◆2016年も個人消費を中心とした内需をドライバーとした経済成長が続く公算が大きい。足下で低調な外需や設備投資は緩やかな改善に留まるとみられるが、家計需要の増加と労働市場改善の好循環が働くことで、経済が下振れするリスクは小さいだろう。

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