サマリー
◆2015年の米国経済は、悪天候や港湾スト、海外から波及した金融市場の混乱などの一時的要因で落ち込んだが、雇用・所得環境の改善が続き、底堅く景気は拡大した。堅調な経済動向を踏まえて、12月のFOMC(連邦公開市場委員会)で利上げ開始が決まった。
◆足下では、一時懸念された雇用環境が持ち直して賃金の伸びが高まってきた。個人消費は所得増加ペースに沿って改善し、住宅投資もやや減速したが改善が続いている。他方で、企業部門、とりわけ製造業では減速感が一層強まっている。
◆2016年の金融政策は、インフレ率が徐々に加速することに伴い、政策金利が0.25%ptずつ2~3回程度、慎重なペースで引き上げられるだろう。2016年の大きなイベントである大統領選については、経済政策も含めて、政策の実像と各候補者にとっての政策の優先順位が見え始めるのは早くても3月頃となろう。
◆2016年も個人消費を中心とした内需をドライバーとした経済成長が続く公算が大きい。足下で低調な外需や設備投資は緩やかな改善に留まるとみられるが、家計需要の増加と労働市場改善の好循環が働くことで、経済が下振れするリスクは小さいだろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
非農業部門雇用者数は前月差+2.2万人
2025年8月米雇用統計:雇用環境の悪化が継続し、利下げが近づく
2025年09月08日
-
米国経済見通し 景気下振れの懸念強まる
雇用環境が悪化傾向を示す中、屋台骨の個人消費は楽観しづらい
2025年08月22日
-
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
-
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
-
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日