利上げ開始に十分な労働市場の改善

2015年11月米雇用統計:非農業部門雇用者数は前月差+21.1万人

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2015年12月07日

  • ロンドンリサーチセンター シニアエコノミスト(LDN駐在) 橋本 政彦

サマリー

◆11月の非農業部門雇用者数は前月差+21.1万人の増加と、市場予想を上回った。過去分についても9月、10月とも上方修正され、非農業部門雇用者数増減の3ヵ月移動平均値は+21.8万人と、3ヵ月ぶりに20万人を上回る水準まで持ち直した。


◆11月の失業率は5.0%と前月から横ばいとなった。失業者数が前月差+2.9万人増加したことに加えて、非労働力人口の減少が失業率を押し上げる要因となったが、就業者数が同+24.4万人と大幅に増加したことで失業率は前月から横ばいに留まった。


◆失業者数の内訳を失業理由別に見ると、会社都合による「非自発的失業」が前月差▲7.1万人と2ヵ月ぶりに減少した。失業期間別では、27週以上の長期失業者数が同▲9.2万人減少し、失業者に占める長期失業者の比率は2009年3月以来の低水準になった。


◆今回の雇用統計は、政策判断は「経済指標次第」とするFRBが、利上げに踏み切るために十分な改善を示したと考えられる。12月FOMCでの利上げ開始の可能性は極めて高まったと言えよう。


◆雇用市場は、先行きについても改善基調が続くとみられる。ただし、労働需給のひっ迫による賃金上昇率の加速は、企業のコスト増加となり、雇用の増加を抑制する要因となる。今後、雇用者数の増加ペースが加速するとは見込み難い。

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