サマリー
◆11月の非農業部門雇用者数は前月差+21.1万人の増加と、市場予想を上回った。過去分についても9月、10月とも上方修正され、非農業部門雇用者数増減の3ヵ月移動平均値は+21.8万人と、3ヵ月ぶりに20万人を上回る水準まで持ち直した。
◆11月の失業率は5.0%と前月から横ばいとなった。失業者数が前月差+2.9万人増加したことに加えて、非労働力人口の減少が失業率を押し上げる要因となったが、就業者数が同+24.4万人と大幅に増加したことで失業率は前月から横ばいに留まった。
◆失業者数の内訳を失業理由別に見ると、会社都合による「非自発的失業」が前月差▲7.1万人と2ヵ月ぶりに減少した。失業期間別では、27週以上の長期失業者数が同▲9.2万人減少し、失業者に占める長期失業者の比率は2009年3月以来の低水準になった。
◆今回の雇用統計は、政策判断は「経済指標次第」とするFRBが、利上げに踏み切るために十分な改善を示したと考えられる。12月FOMCでの利上げ開始の可能性は極めて高まったと言えよう。
◆雇用市場は、先行きについても改善基調が続くとみられる。ただし、労働需給のひっ迫による賃金上昇率の加速は、企業のコスト増加となり、雇用の増加を抑制する要因となる。今後、雇用者数の増加ペースが加速するとは見込み難い。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
米国、設備投資費用の即時償却を復活・拡張
製造業・情報産業の新規投資、及び対米直接投資の増加要因か
2025年10月07日
-
米国経済見通し 利下げ再開後の注目点は?
景気下振れリスクが懸念される時こそ、インフレ動向を注視すべき
2025年09月24日
-
FOMC 0.25%ptの利下げを決定
先行きの利下げペースに関しては予想がばらつく
2025年09月18日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
-
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
-
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
-
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日