サマリー
◆7月の非農業部門雇用者数は前月から+21.5万人の増加となった。2ヵ月連続で増加幅は縮小しており、天候要因などによる3月の落ち込みから持ち直した後、加速感は見られない。雇用者数は増加基調が続いているが、そのペースはあくまで緩やかなものに留まっている。
◆雇用者数の増減を部門別に見ると、民間部門は前月差+21.0万人となった。生産部門の雇用者数は同+1.7万人と3ヵ月ぶりの増加に転じたものの、サービス業(同+19.3万人)の増加幅縮小によって、民間部門全体の増加ペースが前月から鈍化した。
◆7月の失業率は5.3%で前月から横ばいとなった。ただし、27週以上の長期失業者数が同+5.9万人と6ヵ月ぶりに増加するなど、失業者数の内訳に関しては明確に改善が進んだとは言えない内容である。
◆経済的理由でパートタイム就業者となっている人の数は、前月差▲18.0万人と2ヵ月連続で減少した。また、民間部門の平均時給は前月比+0.2%となり、賃金については前月から一歩前進したと評価できる。
◆今回の結果がFRB(連邦準備制度理事会)の政策判断に与える影響は限定的とみられる。カギとなるのは賃金を中心とした、労働市場の質の改善とみられるが、9月FOMCまでにもう一度雇用統計が公表されるため、その結果を十分に見極める必要があるだろう。なお、大和総研では以前より12月の利上げ開始を見込んでいるがその見方に変更はない。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
FOMC 様子見姿勢を強調
景気・インフレに加え、金融環境の変化が利下げのタイミングを左右
2025年05月08日
-
非農業部門雇用者数は前月差+17.7万人
2025年4月米雇用統計:景気への不安が高まる中で底堅い結果
2025年05月07日
-
米GDP 前期比年率▲0.3%とマイナスに転換
2025年1-3月期米GDP:追加関税を背景とした駆け込み輸入が下押し
2025年05月01日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
-
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
-
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
-
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日