改善は続くが、加速感は見られず

2015年7月の米雇用統計:非農業部門雇用者数は前月差+21.5万人

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2015年08月10日

  • ロンドンリサーチセンター シニアエコノミスト(LDN駐在) 橋本 政彦

サマリー

◆7月の非農業部門雇用者数は前月から+21.5万人の増加となった。2ヵ月連続で増加幅は縮小しており、天候要因などによる3月の落ち込みから持ち直した後、加速感は見られない。雇用者数は増加基調が続いているが、そのペースはあくまで緩やかなものに留まっている。


◆雇用者数の増減を部門別に見ると、民間部門は前月差+21.0万人となった。生産部門の雇用者数は同+1.7万人と3ヵ月ぶりの増加に転じたものの、サービス業(同+19.3万人)の増加幅縮小によって、民間部門全体の増加ペースが前月から鈍化した。


◆7月の失業率は5.3%で前月から横ばいとなった。ただし、27週以上の長期失業者数が同+5.9万人と6ヵ月ぶりに増加するなど、失業者数の内訳に関しては明確に改善が進んだとは言えない内容である。


◆経済的理由でパートタイム就業者となっている人の数は、前月差▲18.0万人と2ヵ月連続で減少した。また、民間部門の平均時給は前月比+0.2%となり、賃金については前月から一歩前進したと評価できる。


◆今回の結果がFRB(連邦準備制度理事会)の政策判断に与える影響は限定的とみられる。カギとなるのは賃金を中心とした、労働市場の質の改善とみられるが、9月FOMCまでにもう一度雇用統計が公表されるため、その結果を十分に見極める必要があるだろう。なお、大和総研では以前より12月の利上げ開始を見込んでいるがその見方に変更はない。

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