年内利上げ開始の可能性が高まる

2015年5月の米雇用統計:雇用者数の増加ペースが加速

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2015年06月08日

  • 土屋 貴裕
  • ロンドンリサーチセンター シニアエコノミスト(LDN駐在) 橋本 政彦

サマリー

◆5月の非農業部門雇用者数は前月から28.0万人増加した。過去分についても上方修正され、減速していた雇用者数の増加ペースが加速する結果となった。業種別では、天候要因による下押しからの揺り戻しで、企業向けサービス、娯楽・レジャーなどのサービス業で雇用が大幅に増加した。一方、鉱業・林業などでは雇用者数は引き続き減少した。


◆失業率は5.5%と前月から上昇した。ただし、失業者数が前月から増加する一方で、就業者数も増加、労働参加率も前月から0.1%ポイント上昇しており、失業率の上昇は非労働力人口の減少に因る。ヘッドラインの失業率は前月から悪化したものの、内容としては悪くない。


◆民間部門で雇用されている人々の平均時給は、前月から8セント増えて24.96ドルとなり、前月比変化率は0.3%増と市場予想(Bloomberg調査:0.2%増)を上回った。前年比で見た変化率も2.3%増と前月から増加率が拡大、2013年8月以来の高い伸びとなっており、雇用環境の改善を背景に賃金上昇ペースが加速する兆しが見られた。


◆景気減速が続くことに対する懸念が高まっていたが、今回の雇用統計はそうした懸念を払拭する良好な結果であり、FRB(連邦準備制度理事会)による2015年内の利上げ開始の可能性が高まったと言えるだろう。なお、大和総研では、従前より12月の利上げ開始をメインシナリオとしているが、その見方に変更はない。

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