サマリー
◆5月の非農業部門雇用者数は前月から28.0万人増加した。過去分についても上方修正され、減速していた雇用者数の増加ペースが加速する結果となった。業種別では、天候要因による下押しからの揺り戻しで、企業向けサービス、娯楽・レジャーなどのサービス業で雇用が大幅に増加した。一方、鉱業・林業などでは雇用者数は引き続き減少した。
◆失業率は5.5%と前月から上昇した。ただし、失業者数が前月から増加する一方で、就業者数も増加、労働参加率も前月から0.1%ポイント上昇しており、失業率の上昇は非労働力人口の減少に因る。ヘッドラインの失業率は前月から悪化したものの、内容としては悪くない。
◆民間部門で雇用されている人々の平均時給は、前月から8セント増えて24.96ドルとなり、前月比変化率は0.3%増と市場予想(Bloomberg調査:0.2%増)を上回った。前年比で見た変化率も2.3%増と前月から増加率が拡大、2013年8月以来の高い伸びとなっており、雇用環境の改善を背景に賃金上昇ペースが加速する兆しが見られた。
◆景気減速が続くことに対する懸念が高まっていたが、今回の雇用統計はそうした懸念を払拭する良好な結果であり、FRB(連邦準備制度理事会)による2015年内の利上げ開始の可能性が高まったと言えるだろう。なお、大和総研では、従前より12月の利上げ開始をメインシナリオとしているが、その見方に変更はない。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
米GDP 前期比年率▲0.3%とマイナスに転換
2025年1-3月期米GDP:追加関税を背景とした駆け込み輸入が下押し
2025年05月01日
-
米国の州年金基金とビットコイン現物ETF
「戦略的ビットコイン準備資産」の実現により保有ニーズが高まるか
2025年04月25日
-
「トランプ2.0」における米国金融規制の展望
~銀行システム、暗号資産ビジネスと結合か~『大和総研調査季報』2025年春季号(Vol.58)掲載
2025年04月24日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
-
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
-
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日