サマリー
◆経済見通しを改訂:2013年1-3月期GDP二次速報を受け、経済見通しを改訂した。改訂後の実質GDP予想は2013年度が前年度比+3.1%(前回:同+3.1%)、2014年度が同+0.7%(同:同+0.7%)である(→詳細は、熊谷亮丸他「第177回 日本経済予測(改訂版)」(2013年6月10日)参照)。
◆「アベノミクス」が抱える3つの課題:今回のレポートでは「アベノミクス」が抱える3つの課題について検証した。第一に「財政規律の維持」に失敗すると、「トリプル安(債券安・株安・円安)」を招くリスクがある。第二に、現時点では 「中長期的な経済体質の改善・構造改革」が不十分だとの指摘が根強い。第三に、インフレが進行する中、雇用者の所得が増加しないとの懸念が存在する。今後、安倍政権は、①社会保障制度の抜本的な改革などを通じて財政規律を維持すること、②規制緩和、TPPへの参加、法人実効税率の引き下げなど本格的な成長戦略を強化すること、③政労使の三者が一定の痛みを分かち合う形で、雇用者所得の増加を実現すること、という3点に積極的に取り組むべきである。
◆日本経済のメインシナリオ:日本経済は2012年3月をピークに景気後退局面に入ったものの、2012年11月をボトムに景気は底入れしたとみられる。今後に関しても、日本経済は、①米国・中国経済の持ち直し、②復興需要の継続と大型補正予算の編成、③日銀の大胆な金融緩和を受けた円安・株高の進行、などに支えられて景気拡大が継続する見通しである。上記③に関連して、当社は、ドル円相場は緩やかな円安・ドル高基調で推移すると予想している。また、実体経済との比較からは、現状の株価が依然として過大評価された水準だとは言い難いと考えている。
◆日本経済のリスク要因:今後の日本経済のリスク要因としては、①イタリア・スペインの政局不安などをきっかけとする「欧州ソブリン危機」の再燃、②日中関係の悪化、③米国の財政問題、④地政学的リスクを背景とする原油価格の高騰、の4点に留意が必要である。
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